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有価物と産業廃棄物の違いとは? 具体例や見分けるポイントなどを分かりやすく解説

有価物と産業廃棄物の違いとは? 具体例や見分けるポイントなどを分かりやすく解説

2025/11/26

基礎知識

物流・運送業界の現場では、不要になった資材や梱包材などを処分するときに「有価物か、産業廃棄物か」を正しく判断することが求められます。

判断を誤ると廃棄物処理法違反などのリスクにつながる恐れがあり、企業の信用問題にも関わるため注意が必要です。

本記事では、有価物と産業廃棄物の具体例や見分けるポイントを分かりやすく解説します。また日々の現場の運用に役立つ、有価物を取り扱う際に気を付けたいポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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有価物と産業廃棄物の定義

有価物と産業廃棄物はどちらも物流・運送業界の現場で頻繁に使われる言葉です。

この2つは目的や役割が異なり、それぞれに基準が設けられています。その違いを理解し正しく処理をすることで、法令遵守だけではなくコストの削減や環境への配慮につながる可能性があります。

ここでは有価物と産業廃棄物がどのように定義されているか、それぞれ確認していきましょう。

有価物とは?

有価物とは、不要になった場合でもそれ自体に価値が残っている物のことです。自分を含んだ誰かにとって価値があると認められる物が該当します。

有価物には明確な定義や法令はありませんが、使用済みであっても再利用や売却ができる可能性がある場合は、有価物として扱われるのが一般的です。

一方で汚れや破損などにより再利用が難しい場合や有償で売却できない場合などは、有価物と判断ができないため、廃棄物として適切に処理をする必要があります。

産業廃棄物とは?

産業廃棄物とは、事業活動によって発生した不要物のうち、占有者が自ら利用した後の不要物や有償で売却することができない物などを指します。

廃棄物処理法で定められた20種類の品目があり、例えば廃プラスチック類や金属くず、木くず、紙くずなどが該当します。(※)

産業廃棄物は無償で引き取られることはなく、処分に費用がかかるのが特徴です。また処分をする際は、廃棄物処理法に基づいて適正に処理を行うことが義務付けられています。

※参考:環境局.「産業廃棄物の種類」.(2018-02-09)

有価物と産業廃棄物の具体例


有価物と産業廃棄物の定義を理解した上で気になるのが「実際にどのような物がそれぞれ該当するのか」という点ではないでしょうか。

現場では同じように見える物であっても、その状態や使われ方によって有価物か産業廃棄物かの分類が異なることがあります。

ここからは物流・運送業の現場で発生しやすい物も例に挙げながら、有価物と産業廃棄物のどちらに該当するかを確認していきましょう。

有価物

物流・運送業界では使い終わった資材や梱包材の中にも、有価物として再利用できるケースがあります。有価物として扱われやすい物には、以下のような例が挙げられます。

有価物の種類 具体例
プラスチック類 ペットボトル、樹脂パレット、フィルム、ビニール など
金属くず(鉄金属) 鉄くず、鉄骨、ドラム缶、スチール など
金属くず(非鉄金属) 銅、真鍮、鉛、アルミ、ステンレス、電線 など
ガラスくず ガラス瓶、板ガラス など
木くず 建設廃材、パレット など
紙くず 段ボール、雑誌、新聞紙、紙管 など
繊維くず 衣類、布地 など

上記の例の他にも、状態によっては陶磁器くずや廃油、燃え殻なども有価物として扱われる場合があります。

ただしこれらが有価物と判断されるかは、再利用が可能であることを前提に市場価値や品質、買い手の有無などによっても変わるため注意が必要です。

産業廃棄物

物流・運送業界では、日々の業務でさまざまな不要物が発生します。

中でも汚れや破損によって再利用が難しい場合や、有償で売却ができない物は産業廃棄物として扱われるのが特徴です。産業廃棄物として分類されやすい物には、以下のような例が挙げられます。(※)

産業廃棄物の種類 具体例
廃プラスチック類 廃スチロール、廃ポリウレタン、廃タイヤ、接着剤かす など
金属くず 古鉄、ブリキ、とたんくず、銅線くず、溶接かす など
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず 廃空ビン類、アンプルロス、破損ガラス、ガラス粉 など
木くず(排出する業種が限られている) 木材、おがくず、パーク類、板きれ、廃チップ など
紙くず(排出する業種が限られている) 印刷くず、製本くず、建材の包装紙、板紙 など
繊維くず(排出する業種が限られている) 木綿くず、羊毛くず、レーヨンくず、ロープ など
※合成繊維は廃プラスチック類に含まれるので注意

上記の例の他にも、廃酸や廃アルカリ、燃え殻などが産業廃棄物として扱われる場合があります。これらは再利用や再資源化が難しく、法令に基づいて適正に処理することが求められるので注意が必要です。

※参考:環境局.「産業廃棄物の具体例」.(2018-02-19)

有価物と産業廃棄物の違い

有価物と産業廃棄物は、どちらも不要物を取り扱う点は共通していますが、法的な扱いや収集運搬の方法に大きな違いがあります。

有価物は前述の通り、不要になった場合でも物自体に価値があるため「資源」として再利用や売却が可能です。廃棄物処理法の対象外となるため廃棄物を処理する際の許可証や手続きは不要です。ただし扱い方次第では廃棄物とみなされる場合もあるため取り扱いには慎重さが求められます。

一方の産業廃棄物は、廃棄物処理法に基づき「処分を目的とした不要物」として扱われます。産業廃棄物の収集運搬ができるのは、都道府県が発行する「廃棄物収集運搬業許可」を受けた専門業者に限られるのが特徴です。また一般の家庭から出る廃棄物を、料金を受け取って回収する場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要になります。

さらに産業廃棄物の排出事業者には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行が義務付けられており、廃棄物の排出から最終処分までの流れを適正に管理しなければなりません。

※参考:環境局.「処理を委託する場合」.(2024-12-20)

※参考:環境省.「廃家電や粗大ごみなど、廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!」.(参照2025-10-23)

※参考:横浜市.「「無許可」の廃棄物回収業者に注意!」.(2025-08-15)

有価物と産業廃棄物を見分けるポイント

有価物と産業廃棄物を見分けるには、見た目や種類だけでは判断が難しい場合があります。そのため以下のような複数の要素を総合的に確認することが大切です。

これらの5つの観点は「総合判断説」と呼ばれています。(※)

要素 基準
物の性状 利用目的と品質が合っているか
飛散や流出、悪臭など生活環境への支障がないか
JIS規格などの基準を満たしているか
排出の状況 需要に沿って計画的に排出されているか
適切に保管・品質が管理されているか
通常の取扱形態 製品としての市場が成立しているか
通常、廃棄物として処理されていないか
取引価値の有無 占有者から、受け取る相手に有償で譲渡されているか
処理料金に相当する金品の授受がないか
譲渡する際の価格に合理性が認められるか
占有者の意思 占有者自身が適切に利用しているか
占有者が他人に有償で譲渡する意思があるか

なおこれらの要素は一つだけで判断するのではなく、有価物と産業廃棄物のどちらの性質が強いかを総合的に見極めることが重要です。

※参考:環境局.「廃棄物の手配について」.(参照2025-10-09)

有価物を取り扱う際に気を付けたい3つのポイント

有価物は、再利用やリサイクルによって新たに活用できる大切な資源です。その価値をより生かすためには、適切な管理体制を整え、社内のルールや取引条件を明確にしておかなければなりません。

ここからは、有価物を取り扱う際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。適切に取引や管理を進めるために、ぜひ参考にしてください。

事業者の許可状況を確認する

有価物の取引を行う際は、依頼先の業者が必要な許可を取得しているかを確認することが大切です。

先述の通り、有価物の収集運搬や売買には廃棄物を処理する際の許可証や手続きは不要です。一方で産業廃棄物を収集運搬・処分するには、都道府県からの「産業廃棄物収集運搬業許可」や市町村長からの「一般廃棄物収集運搬業許可」を得る必要があります。

もしも許可のない事業者が産業廃棄物の収集運搬を行った場合、排出事業者と依頼先の業者に「5年以下の懲役(個人のみ)、1,000万円以下(法人は3億円以下)の罰金、もしくはその両方」といった罰則が科せられる可能性があります。(※)

また有価物を産業廃棄物と同時に排出する際、まとめて一つの業者に取引を依頼する際は、産業廃棄物を収集運搬・処分するための許可が必要になるため、特に注意が必要です。

※参考:環境局.「廃棄物の不適正処理禁止」.(参照2025-10-09)

誰が見ても分かるように分別する

有価物をスムーズに取引するためには、誰が見ても分かるように分別しておくことが大切です。

種類ごとにしっかり仕分けておくことで、引き取り時の混乱を防ぎ、余計な選別作業費用の発生を抑えられるメリットがあります。

また一見、有価物として扱われそうな「金属くず」や「プラスチック」などの中に泥や異物が混ざっていると、産業廃棄物として扱われる可能性が高くなります。その場合は処分費用が追加で発生することもあるため、取引をする前によく確認し分別しておきましょう。

逆有償にならないよう注意する

逆有償とは有価物として買い取ってもらえるはずの物に、運搬費や処理費などの費用が発生してしまう状態を指します。

例えば有価物の品質が悪かったため買い取ってもらえず、反対に産業廃棄物としての処分費用を支払うことになるケースや、有価物の売却利益よりも交通費の方がかかってしまったといったケースなどがあるでしょう。また先述の通り、処理の際に泥や異物が混ざっていると追加の処分費用を負担することになる場合もあります。

このような事態を防ぐには、取引前に逆有償となる可能性がないかをしっかり確認しておくことが大切です。

物の状態や品質、相場の変動などによって有価物の価値は変わるため、依頼を検討している業者にあらかじめ相談しておくと良いでしょう。

有価物か産業廃棄物かを巡る判例


有価物と産業廃棄物の違いを考える上でよく取り上げられるのが「おから事件」です(※)。

この事件は豆腐の製造過程で出る「おから」を、肥料製造業者が無許可で処理費用を受け取り回収していたことから起訴された判例です。

肥料製造業者は「おからは肥料・飼料として利用できる資源である」と主張しましたが、裁判では通常の取扱形態や取引価値の有無、占有者の意思などの複数の要素に基づき「おからは産業廃棄物に該当する」と判断されました。その結果、肥料製造業者は産業廃棄物を無許可で収集運搬したとして有罪となりました。

このように有価物かどうかの判断は、単に再利用されているかどうかだけではなく総合判断説を用いて判断することが重視されます。

※参考:裁判所.「平成9(あ)105 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件」.(参照2025-10-09)

まとめ

有価物と産業廃棄物は、見た目が似ていても法的な扱いや処理方法が大きく異なります。

物流・運送業界においては、日々の運用で出た不要物の分別や処分時の判断が、企業全体の信頼にも関わる重要なポイントです。有価物と産業廃棄物の違いを理解して適切に処理をすることは、コスト削減や環境保全にもつながります。

キーフェル株式会社では、廃棄予定の資材やパレット、梱包材などを一つひとつ丁寧に査定し、有価物として再利用できる物を積極的に買い取りしています。買い取り査定は最短即日で対応可能で、写真だけで簡単に査定できるLINEでの買い取りも行っています。

不要になった資材などを抱えており有価物として買い取ってもらうこと可能かを確認したい方や、コストを抑えながらスムーズに処理を進めたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

https://kiefel.co.jp/

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