木製パレットをプラスチックパレットに変更するメリットは?パレットの処分方法も解説
2024/12/20
基礎知識
パレットにはさまざまな素材があり、その中でも生産枚数が多いのが木製パレットとプラスチックパレットです。それぞれコストや耐久性、使い勝手、環境負荷の点で違いがあり、用途に応じて使い分けられています。
昨今、木製パレットがプラスチックパレットへと置き換わりつつあります。物流業界に関わる方は、なぜそのような流れになっているのかを把握しておくことが重要です。
そこで本記事では、木製パレットをプラスチックパレットに変更する理由やメリット、それぞれのパレットの比較などを解説します。記事後半では、物流の2024年問題における「パレット輸送」の課題と対策も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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木製パレットがプラスチックパレットに置き換わっている理由とは?
カラ松や針葉樹のツガ、南洋系の広葉樹などからなる木製パレットは、物流において広く用いられるメジャーなパレットです。一般社団法人日本パレット協会(JPA)によると、2023年の木製パレットの生産枚数は約3,100万枚でした。
ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの合成樹脂を原料とするプラスパレットは、木製パレットの次に生産されているパレットで、2023年度は約1,560万枚生産されています。
このように木製パレットの生産枚数が多いですが、昨今、木製パレットはプラスチックパレットへと置き換わりつつあります。2024年度のパレットの保有枚数は、木製パレットが約380万枚なのに対し、プラスチックパレットは約2,400万枚です。
このようにプラスチックパレットが主流になりつつある理由は、いくつかあります。
まず挙げられるのが、プラスチックパレットはリサイクル可能で、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献できる点です。その点木製パレットは、生産するために森林を伐採しなければならず、環境への影響を無視することはできません。
またプラスチックパレットは、腐敗・劣化しやすい木製パレットと比較して、衛生管理しやすい点もメリットです。
※参考:一般社団法人日本パレット協会.(参照 2024-10-27)
木製パレットとプラスチックパレットの比較
木製パレットとプラスチックパレットには、以下の違いがあります。
● 価格の違い
● 耐久性の違い
● 使い勝手の違い
● 環境負荷の違い
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
価格の違い
木製パレットとプラスチックパレットのコストを比較すると、明確な違いがあります。
木製パレットは比較的製造コストが安く、安価に購入できます。損傷しても板の交換を行うことで修理でき、メンテナンスコストも抑えることが可能です。
一方、プラスチックパレットは製造コストが高く、初期費用は高くなる傾向にあります。また破損した場合は部分的に修理するのが難しく、メンテナンスコストも高めです。
耐久性の違い
木製パレットは強度があり重量もあるため、重い荷物の積載には適しているものの、湿気や紫外線、害虫に弱く、長期間使用すると腐食しやすいのが欠点です。そのため木製パレットは、およそ3年、長くても5年程度で寿命を迎えます。
一方、プラスチックパレットは耐水性や耐薬品性に優れており、カビや腐食が発生しにくい点が特徴です。初期費用やメンテナンスコストはかかるものの、10年以上使用可能なため、トータルでかかるコストは抑えられるでしょう。
使い勝手の違い
プラスチックパレットは木製パレットと比べて軽量であり、取り扱いやすい点がメリットです。その他、物理的・化学的性質から比較すると、以下の表のようにまとめられます。
比較項目 | 木製パレット | プラスチックパレット |
曲げ強度 | 個体差があるが、湿度の影響を受けやすい | 温度の影響を受けやすい |
衝撃強度 | 普通 | 木製パレットより強度がある |
防滑性 | 個体差はあるが、滑りにくい | 水にぬれると滑りやすいが、使用上の問題はない |
安定性 | 釘の緩みがあると不安定になる | 品質に変動がなく、安定している |
荷物保護 | 釘浮きやささくれがあると、荷物の表面が傷つくリスクがある | 耐水性・耐久性に優れているため、荷物がダメージを受けにくい |
環境負荷の違い
木製パレットとプラスチックパレットは、環境負荷の点でも異なります。
寿命を迎えた木製パレットは、再度パレットとして用いることは難しく、基本的には産業廃棄物の木くずとして処理されます。
その一方で、プラスチックパレットは粉砕・再生した後、新たなパレットの原料としての活用が可能です。
木製パレットからプラスチックパレットに変更するメリット
木製パレットをプラスチックパレットに変更するメリットは、以下の通りです。
● 輸送コストを削減できる
● 入れ替え頻度を減らせる
● 積荷の衛生を保ちやすくなる
● パレットとしてリサイクルできる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
輸送コストを削減できる
木製パレットからプラスチックパレットに変更すると、輸送コストを削減できます。
プラスチックパレットは、軽量で取り扱いやすい点が特徴です。素材やサイズにより重量は異なりますが、木製パレットの総重量が15〜40kg程度なのに対し、プラスチックパレットは5〜25kg程度です。
トラックは最大積載量が決まっていますが、パレット自体の重量がない分、より多くの荷物を積載できます。つまり、同じ輸送回数・輸送距離でより多くの荷物を運ぶことが可能です。
入れ替え頻度を減らせる
木製パレットからプラスチックパレットに変更すると、入れ替え頻度を減らすことが可能です。
プラスチックパレットは耐久性・耐水性・耐薬品性が高く、頻繁な交換やメンテナンスは必要ありません。その点木製パレットは、湿度や化学物質の影響を受けやすく、劣化やカビの害を受けやすいため、定期的な交換や補修が必要です。
積荷の衛生を保ちやすくなる
プラスチックパレットは木製パレットより積荷の衛生を保ちやすいです。その理由には以下が挙げられます。
● カビ・虫の発生リスクが低い
● 木くず・ヤニが少ない
● 洗浄して清潔を保てる
上記のような特徴から、プラスチックパレットは異物混入や虫・微生物の発生リスクを減らせます。衛生管理しやすいため、医薬品や食品産業で高い需要があります。
パレットとしてリサイクルできる
プラスチックパレットは木製パレットと異なり、パレットとしてのリサイクルが可能です。使用済みのプラスチックパレットは粉砕し、新たなパレットの原料に再生されます。
その点木製パレットは、使用後は産業廃棄物の木くずとして、燃料化・チップ化・焼却によるエネルギー回収・堆肥化など処理が施されます。
木製パレットはどう処分する?
プラスチックパレットに切り替える際に考えなければならないのが、使用しなくなった木製パレットをどのように処理するかという点です。木製パレットは、以下のように処理しましょう。
● 産業廃棄物として処理する
● 納入業者に引き取りを依頼する
● 業者に買い取ってもらう
それぞれの処理方法の概要を解説します。
産業廃棄物として処理する
木製パレットは、産業廃棄物の木くずに分類されます。処理するにあたっては、産業廃棄物処理業者に依頼しましょう。処理費用はかかりますが、専門的な処理プロセスにより環境への影響を最小限に抑えて処理できます。
依頼する業者を選ぶ際は、その業者が都道府県知事から産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得ていることを確認してください。無許可業者に依頼した場合、業者はもちろん、排出事業者も廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されるため注意してください。
産業廃棄物収集運搬・処分許可業の取得有無は、産業廃棄物処理事業振興財団の運営する産廃情報ネットや公式ホームページなどからチェックできます。
納入業者に引き取りを依頼する
仕入れにより木製パレットを保管・管理している場合、納入業者に引き取りを依頼するのも一つの方法です。産業廃棄物として処理する場合と異なり、納入業者に依頼すれば、処理コストを削減できます。
パレットの返送コストをどちら側が負担するのか、そもそも引き取ってもらえるのかなどは納入業者により異なります。この方法が難しい場合は、後述する方法も検討してみてください。
業者に買い取ってもらう
使用済みの木製パレットは、中古パレット買取業者への依頼も可能です。この方法のメリットには、以下が挙げられます。
● 処分コストを抑えられる
● SDGsに貢献できる
● 売却により利益を上げられる
業者を選ぶ際は「古物営業法を遵守しているか」「対応エリアに該当しているか」「持ち込み・出張どちらに対応しているか」「料金設定が明確か」「実績が豊富か」などの項目をチェックして、信頼できる業者かどうかを判断しましょう。
木製パレットの処理方法をより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【基礎知識】木製パレットの処分方法が知りたい/新しいパレット購入方法もご紹介
物流の2024年問題における「パレット輸送」の課題と対策
物流の2024年問題とは、2024年4月から適用された働き方改革関連法の規制により、ドライバー不足がより深刻化し、輸送力の大幅な低下が懸念されるという一連の問題のことです。このままの状況が続けば、輸送力が2024年には14%、2030年には34%不足すると予想されています。ドライバーの労働時間が制限される状況下では、いかに効率的な物流プロセスを構築するかが重要です。
そこで注目されているのが、パレット輸送です。パレットを利用すれば、荷役作業の効率が高まり、ドライバーの負担も軽減できます。
しかし、さまざまなサイズのパレットが普及しており、標準化されていないのが現状です。また、フォークリフトの使用が前提となっている他、回収コストがかかる点なども課題に挙げられます。
そこで現在は、国土交通省を中心にパレット標準化の推進や、レンタルパレットや共同プラットフォームの普及といった対策が実施されています。
※参考:国土交通省.「『官民物流標準化懇談会 パレット標準化推進分科会』の最終とりまとめを公表」.(参照 2024-10-27)
まとめ
本記事では、木製パレットをプラスチックパレットに変更するメリットや、木製パレットの処分方法などを解説しました。
木製パレットからプラスチックに変更すると、輸送コストや入れ替え頻度を低減でき、衛生管理もしやすくなります。プラスチックパレットから変更するにあたっては、使用済みの木製パレットを適切に処理しましょう。
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