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一貫パレチゼーションとは? 注目される背景やメリット、課題について解説|中古パレット(木製、プラスチック等)の買取・販売はキーフェルへ

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一貫パレチゼーションとは? 注目される背景やメリット、課題について解説

一貫パレチゼーションとは? 注目される背景やメリット、課題について解説

2025/03/17

基礎知識

物流業界は働き方改革によりトラックドライバーの労働時間の制限、慢性的な人手不足、長時間労働、低賃金、低い生産性など多くの課題を抱えています。これらの課題を解消できると注目されているのが、製品・商品の製造から配送までパレット単位で管理・移動する物流方式である一貫パレチゼーションです。

本記事では、一貫パレチゼーションの概要や注目される背景、メリットを解説します。記事後半では課題や実現に向けた取り組みなども解説するので、ぜひ参考にしてください。

パレットは荷物の運搬や倉庫内での保管を効率化させる上で、物流業界では欠かせないマテハン機器の一つです。適切に活用できれば、効率的な運搬が可能となるだけでなく、作業負担も大幅に軽減されます。

しかし異なる規格・サイズのパレットだと、その効果を最大限引き出すことはできません。そこで注目されているのが、規格をそろえる「パレットの標準化」です。

本記事では、パレット標準化とそれが求められる背景を解説します。記事後半では、パレット標準化により見込める効果や取り組み事例もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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一貫パレチゼーションとは?

一貫パレチゼーションとは、製品・商品の製造から配送までパレット単位で管理・移動する物流方式です。荷物をパレットに載せたまま、フォークリフトや搬送用ロボットで運搬できるため、個々の荷物を手作業で積み替える必要がありません。ドライバーの負担軽減につながったり、荷物の破損・汚損リスクを低減できたりするメリットもあります。

日本でもすでに導入されており、野菜の荷積みや荷下ろしなどの手作業の工数を削減し、業務効率を大幅に向上させた事例があります。

一貫パレチゼーションが注目される背景

トラックドライバーは他業種と比較して長時間労働・低賃金・低い労働生産性が問題視されており、慢性的に人手不足に陥っているのが現状です。働き方改革関連法の影響で、トラックドライバーの労働時間が制限されることもあり、荷役作業を効率化していく必要性があります。

こうした課題を受け、国土交通省は標準貨物自動車運送約款等と、貨物⾃動⾞運送事業輸送安全規則の⼀部の改正に踏み切っています。

標準貨物自動車運送約款等の改正:トラック運送事業者と荷主間の取引条件を明確化することで適切な運賃・料金で取引が行われることが目的
貨物⾃動⾞運送事業輸送安全規則の⼀部の改正:積み下ろしや待機でも適正な対価をもらえるようにしてトラックドライバーの労働環境の改善していくことが目的

加えて一貫パレチゼーションを導入することで、そもそも積み下ろしや待機が発生しないようにし、積載効率・労働生産性を高めていく流れが加速しています。

一貫パレチゼーションのメリット

一貫パレチゼーションのメリットは、次の通りです。

荷役作業の効率が上がる
輸送コストを削減できる
荷物の破損・汚損リスクを低減できる
荷役作業者の負担を減らせる
環境への負荷を減らせる

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

荷役作業の効率が上がる

一貫パレチゼーションでは、出荷元から出荷地までパレット単位で荷物・商品を配送するため、手作業による荷役作業や積替えが不要となります。実際、東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科による研究によれば、パレット化を進めることで手作業で200分以上かかっていた荷役作業が、80分程度に短縮されるケースもあることが分かっています。一貫パレチゼーションの導入により、一運行当たりの総輸送時間を大幅に削減することが可能です。

また荷役待ち時間の削減にもつながります。荷役待ち時間に影響を与える因子には、トラックの到着台数・バース数・荷役時間などがありますが、一貫パレチゼーションを進めると荷役作業を効率化できるため、総作業時間を短縮できます。これにより、トラック回転率も向上させていけるのです。

※参考:東京海洋大学.「一貫パレチゼーションの導入における直接効果及び波及効果の評価に関する研究」.(参照 2024-02-11)

輸送コストを削減できる

一貫パレチゼーションは輸送コストを削減できる点も大きなメリットです。総輸送費用は、荷積み費用+輸送費用+荷卸し費用で算出されますが、先述したように荷役作業の効率が上がるため、単位時間当たりの荷役費用を削減できます。

また直接的な輸送コスト削減効果だけでなく、間接的な効果にも期待できます。単位時間当たりの荷役費用・荷役時間の削減により、付帯作業料金・荷役待ち料金に関してもコストカットできるので、適正運賃・料金収受を促進してくことが可能です。

しかし、実際には一貫パレチゼーションを進めるだけで輸送コスト削減が実現できるとは限らず、荷役速度や輸送距離、荷台への容積積載率などの因子に影響される点は把握しておきましょう。

荷物の破損・汚損リスクを低減できる

特定の条件下では、一貫パレチゼーションの推進により荷物の破損・汚損リスクを低減できることが分かっています。

手作業で荷積み作業を行う場合、人為的ミスにより破損したり衝撃を与えたりしてしまう点がリスクです。一部の箇所に強い力や衝撃が加わり、荷物が傷つく要因となります。

その点、パレット単位で出荷元から出荷地まで輸送すれば、安定した状態を維持できるため破損や衝撃から荷物を守ることが可能です。パレットに載せた荷物はフォークリフトやハンドリフトなどの機器を用いて運搬するため、荷物に直接触れることはありません。

また手作業やバラ作業と比較して、出荷地から最終的な納品先まで外部環境にさらされることも少ないため、破損・汚損の発生リスクを低減できます。

荷役作業者の負担を減らせる

荷役作業者の負担を軽減できる点も、一貫パレチゼーションのメリットの一つです。

パレットを使用しないバラ積み・バラ降ろしの場合、荷役作業者に大きな身体的負担がかかります。荷崩れを起こす可能性もあり、けがをするリスクがある点も否定できません。実際、腰痛リスクを検討する作業姿勢評価法であるOWAS法(Ovakoʻs working posture analyzing system)において、積荷作業では身体的な負担がかかることが示唆されています。

その点、一貫パレチゼーションでは、フォークリフトをはじめとする荷役機械を用いる点が特徴です。手荷役作業がなくなるため、作業者が直接荷物を持ち運ぶ機会が減り、それに伴い荷役作業者の負担を大きく軽減できるでしょう。

環境への負荷を減らせる

一貫パレチゼーションの導入により、環境への負荷を減らすこともできます。

まず、一貫パレチゼーションの導入により積載効率やトラック回転率が改善し、輸送・物流の効率化が進みます。これにより総輸送回数を減らすことができ、必要なトラック台数も削減できるため、二酸化炭素排出量や燃焼消費量を抑えられます。

またパレット管理体制の確立により余計なパレット輸送が減少する点も、環境負荷を低減できる理由の一つです。一方でパレットが適切に管理されていない場合、パレットの回収や再利用にも輸送コストがかかり、環境負荷が増大します。

一貫パレチゼーションの課題

一貫パレチゼーションには先述したメリットだけでなく、以下のような課題もあります。

段ボール箱・パレット・コンテナの規格統一
業界・企業間の連携
パレット管理システムの構築

一貫パレチゼーションを実現する上では、課題も抑えておくことが重要なので詳しく解説します。

段ボール箱・パレット・コンテナの規格統一

一貫パレチゼーションを導入するに当たり、段ボール箱・パレット・コンテナの規格を統一しなければならない点が課題です。パレット単位で効率的な輸送を実現するには、マテハン機器の規格や形状が一定であることが求められます。例えば日本では、ドライバー不足や高齢化などの問題への対策、無駄な荷積み作業の発生の抑制、パレット回収のコスト削減のためにパレット標準化が進められています。

しかし、企業や業界、国ごとに使用されるパレットやコンテナの規格が異なるのが現状です。JIS規格で規定されている1,100mm×1.100mmのパレット(通称:イチイチパレット)の普及率は3割程度にとどまります。

異なる規格の機器を使用すると、商品・製品が破損するリスクがある他、輸送時や倉庫での保管時に余計なスペースが生じたり、別途積替え作業が必要になったりします。一貫パレチゼーションを推進するには、使用機器の規格の統一が重要です。

業界・企業間の連携

一貫パレチゼーションの実現は単に一企業の努力だけでは不十分で、業界・企業間で連携し、サプライチェーン全体で取り組んでいく必要があります。

例えばメーカーや物流業者、小売業者のそれぞれが異なるサイズのパレットを使用している場合、まず業界全体で統一規格を採用しなければなりません。一部の企業だけが取り組んでも、取引先や仕入先が対応できなければ一貫パレチゼーションの効果は限定的になってしまいます。

また一貫パレチゼーションの実現には、パレットを適切に回収して再利用する仕組みづくりが必要です。そのため規格を統一するだけでなく、パレットの回収率を高めるためにも業界・企業間での連携していくことが求められます。回収率が低い場合、パレットの循環利用が滞ることによるレンタルパレットの利用料金の値上げ、サプライチェーン全体の停滞などが引き起こされるリスクがあります。

パレット管理システムの構築

一貫パレチゼーションを推進するには、パレット管理システムを構築していくことが必要です。デジタル技術を活用した管理システムでは、RFIDやIoTなどの技術が用いられています。

RFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)とは、電波を用いてICタグやRFタグ(RFIDタグ)を読み取り、記録する技術です。バーコードや二次元コードと仕組み自体は似ていますが、これらと異なり一括で複数のタグを読み取れる点や、タグの表面が汚れている点がメリットです。

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは、物理的なデバイスをインターネットに接続し、データのやり取りをする技術を指します。パレットのIoT化を進めることで、パレットのリアルタイムの位置管理、紛失や流出の防止、在庫確認などが可能になります。

こうした技術は一貫パレチゼーションの実現には欠かせない技術ではあるものの、コストがかかる点が課題です。

一貫パレチゼーションの実現に向けた取り組み

一貫パレチゼーションの実現に向けた取り組みには、以下のようなものがあります。

各事業者に対する標準パレットの利用促進
標準仕様パレットの利用促進支援事業
共同プラットフォームの構築

それぞれの取り組み事例を詳しく解説します。

各事業者に対する標準パレットの利用促進

パレット標準化推進分科会では、標準仕様のパレット(T11型パレット・イチイチパレット)をより普及させるために、各事業者に対して利用を促進しています。具体的には、以下の通りです。

種別 求める取り組み
発荷主・着荷主 ・標準パレットの活用
・標準パレットの本来の目的以外への不使用
・パレットの適切な返却の促進
・荷役に必要な人材、機器の配置
・入出荷業務の効率化 など
運送事業者・倉庫事業者 ・標準パレット導入の優先的な検討、荷主への積極的な呼びかけ
・標準パレット導入による労働環境の改善
・荷役、搬送の自動化や省人化の推進 など
レンタルパレット事業者・パレット製造事業者 ・標準パレットの周知協力
・共同プラットフォーム実現に向けた検討
・標準パレットの製造、販売、市場への安定的な供給 など

加工食品分野での物流標準化

業種分野ごとに物流の標準化が推進されています。その筆頭ともいえるのが、加工食品分野です。

パレット規格に関しては、飲酒・酒物流ではビールパレットと呼ばれるT9型パレットが使用されているものの、加工食品ではT11型やT12型の運用が進められています。

標準仕様パレットの利用促進支援事業

T11型の標準仕様パレットの利用を促進するための支援事業も実施されています。レンタルパレット事業者、パレットを導入する物流事業者・倉庫事業者・荷主に対して50%の補助金(上限あり)が出ます。対象となる経費は、レンタルパレット導入に向けた取り組みに関するコスト、自社パレットの処分費用、管理システムの開発費用などです。

利用促進支援事業を通し、協働ロボットパレタイザーを導入した事例や、標準パレットを利用した輸送方法への変更に至った事例などがあります。

共同プラットフォームの構築

パレットの共同プラットフォームとは、レンタルパレット会社がパレットの供給・管理・回収を行うシステムです。

物流には製造者、発着荷主、運送事業者、倉庫事業者、パレットメーカーなど多くの関係者が関わります。複数のレンタルパレット事業者が共同プラットフォームを構築することで、窓口を一元化でき、パレットの利用や回収に関わる手続きの煩雑さを解消し、スムーズに運用できます。

まとめ

本記事では、一貫パレチゼーションの概要や注目される背景、メリットと課題、実現に向けた取り組みなどを網羅的に解説しました。

一貫パレチゼーションとは、製品・商品の製造から配送までパレット単位で管理・移動する物流方式です。物流業界特有の課題を解消できる他、法改正などの影響もあり注目を集めています。

荷役作業を効率化できたり、荷役作業者・環境への負担を軽減できたりするメリットがある一方で、パレット・コンテナの規格統一、パレット管理システムの構築などが課題になる点は把握しておきましょう。

各事業者に対する標準パレットの利用促進・標準仕様パレットの利用促進支援事業・共同プラットフォームの構築など実現に向けた取り組みも進んでいるので、ぜひ実践してみましょう。

キーフェル株式会社では、効率的な物流・輸送業務に欠かせないパレットを多数取り扱っています。一貫パレチゼーションの取り組みの流れで、パレットの購入を検討している方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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