グリーン物流とは? 実践のポイントや事例を分かりやすく紹介
2025/12/17
基礎知識
物流・運送業界では、燃料費の高騰や人手不足、環境への配慮など、対応しなければならない課題が増え続けています。
こうした背景から、近年あらためて注目されているのが「グリーン物流」です。しかし「どこから見直せばよいのか分からない」と感じる担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、グリーン物流の基礎知識から期待される効果、実践のポイント、具体的な取り組み例までを分かりやすく紹介します。今後の取り組みを検討する際のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
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グリーン物流とは?
グリーン物流とは、物流における二酸化炭素の排出量やエネルギーの使用量を減らし、環境負荷を軽減する取り組みのことです。「グリーンロジスティクス」と呼ばれることもあります。
輸送・配送の効率化や省エネ車両の導入、エコドライブの推進など、日々の業務の中で無理なく実践できる対策も多く含まれているのが特徴です。
また国土交通省は、環境に配慮した取り組みを後押しする仕組みとして、運輸事業者を評価するグリーン経営認証制度を設けています(※)。さらに、企業同士が協力しながら環境負荷の軽減を促進するためのパートナーシップも民間企業によって整備されており、物流業界全体でグリーン物流の普及が期待されています。
企業の社会的責任への関心が高まっている現代において、グリーン物流に積極的に取り組むことは企業イメージの向上にもつながるでしょう。
※参考:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団グリーン経営業務室.「グリーン経営」.(参照2025-11-25)
グリーン物流に期待される4つの効果

企業にとってのグリーン物流への取り組みは、環境面だけではなくさまざまな側面での効果を得る手段となります。
まずはグリーン物流によって期待される主な効果を紹介します。自社で取り組む際のヒントになるよう、詳細を確認しておきましょう。
効率化の実現
グリーン物流の取り組みは、業務効率化の実現につながります。
輸送体制の最適化や車両の稼働数を調整することで、無駄な移動や車両台数を減らし効率良く荷物を運べるようになります。これにより輸送の回数やリードタイムを短縮できます。
また輸送時に大型車両を活用すれば積載量を増やせるため、1回の輸送でより多くの荷物を運ぶことができる点も特徴です。
このように、拠点やルートを見直すことで無駄な作業や走行が減り、よりスムーズに進めやすくなるでしょう。
コスト削減
グリーン物流の取り組みは、燃料費や光熱費などのコストの削減にも役立ちます。
例えば、輸送方法を見直すことで、無駄な走行を減らし燃料の使用量を抑えられる可能性があります。また物流倉庫のエネルギー利用量を最適化すると、燃料や電力の消費を抑え日々の光熱費を削減できる点もメリットです。
さらに輸送拠点を集約すれば、拠点数が減り在庫管理を一体化できるため、倉庫スペースにかかる費用や人件費の削減にもつながります。
こうした取り組みの積み重ねによって、全体的な物流コストを抑えやすくなる効果が期待できます。
環境保全への貢献
グリーン物流を進める目的の一つが、環境への負担をできるだけ小さくすることです。
そのためには、二酸化炭素の排出量を減らす工夫や、使用する資源を無駄にしない取り組みが欠かせません。省エネルギー化や資源の有効活用を進めることで、環境保全への貢献に役立ちます。
こうした取り組みは、環境負荷の軽減だけではなく、持続可能な物流体制を作ることにもつながります。企業が長く事業を続けていくためにも、環境保全を意識した取り組みは欠かせない視点といえるでしょう。
企業価値の向上
グリーン物流に取り組む企業は、環境配慮の姿勢が明確になることで、ビジネスパートナーとして選ばれやすくなります。さらに脱炭素化を重視する企業や投資家から高く評価されやすくなる点もメリットの一つです。
また近年は、消費者の環境意識が高まっているため、環境に配慮した製品やサービスが支持されやすい傾向にあります。こうした取り組みを行う企業は信頼を得やすく、企業イメージの向上につながるでしょう。
グリーン物流を実践する際のポイント
グリーン物流を進めるには、現場の状況に合わせて計画的に取り組むことが大切です。
どこから着手すべきかを整理し、組織として取り組める体制を整えることで、効果を感じやすくなります。ここからは、実践に向けて押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
現状を把握し課題を整理する
グリーン物流を進める際は、まず自社の物流業務を見える化し、どの工程で環境負荷が大きくなっているのかを把握することが大切です。
具体的には、次のような項目を確認すると状況を整理しやすくなります。
| 輸送・配送 | 車種・年式、走行距離、燃料使用量、積載率 など |
| 倉庫 | エネルギー使用量、空調・照明の設備内容、廃棄物量 など |
| 資材 | 梱包材の種類・使用料、再利用率、容積 など |
| 荷役 | 使用機器の種類、エネルギー効率、作業時間 など |
こうした情報から現状を正しく把握することで、改善すべきポイントや取り組む順番が明確になり、無理のない計画作りにつながります。
トップダウンで推進体制を整える
グリーン物流を効果的に進めるためには、企業の経営トップが方針を示し、組織全体で取り組める体制をつくることが欠かせません。
現場だけに任せるのではなく、経営トップが目的や方向性を明確に伝えることで、部署間の連携も進みやすくなります。
また自社だけで取り組みを完結させるのではなく、外部のパートナー企業と協力しながら進めることも重要です。企業単体では対応が難しい課題も多いため、複数の企業が協力し合って取り組む必要があります。
例えば「グリーン物流パートナーシップ会議」のように、企業間で情報を共有したり連携を深めたりする場を活用すれば、より実効性の高い取り組みにつなげられるでしょう。こうした業界全体での体制づくりが、継続的なグリーン物流の推進に役立ちます。
取り組みを可視化して改善につなげる
グリーン物流の取り組みを可視化し、改善につなげる仕組みを整えることもグリーン物流を継続的に進めるために押さえておきたいポイントの一つです。
どの施策が効果を生んでいるのかを確認できれば、今後強化すべき取り組みが見えてきます。そのためには、燃料使用量や二酸化炭素排出量、倉庫のエネルギー使用量、積載率などのさまざまな項目を定期的に記録し、変化を把握することが欠かせません。数値として見える化すると、改善が必要なポイントが分かりやすくなるでしょう。
また結果を社内で共有することで部署間の連携が進み、より効果的な取り組みを検討しやすくなるメリットもあります。
定量的な可視化と改善のサイクルを繰り返すことが、グリーン物流で成果を出すための大切なステップといえるでしょう。
グリーン物流の取り組み例

グリーン物流には、日々の業務で取り入れやすいものから全体の仕組みを見直すものまで、幅広い方法があります。
ここからは代表的なグリーン物流の取り組みをいくつか紹介します。自社で取り組みを検討する際のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
省エネ・低排出化の推進
グリーン物流を進める上で欠かせないのが、省エネルギー化や二酸化炭素排出量の削減につながる取り組みです。
中でも低炭素車両の導入は効果が期待できるでしょう。ハイブリッド車やEVトラックなどの環境負荷の少ない車両を活用することで、燃料の使用量を抑えながら輸送業務を行えるようになります。車両の性能が向上すれば、二酸化炭素の排出量の削減にも直結します。
また日々の運転方法を見直すことも大切です。アイドリングストップを徹底したり、急加速や急減速を避けるエコドライブを実践したりすることで、燃料の使用量を抑えやすくなります。運転習慣の見直しはすぐに取り入れやすい上、ドライバーの意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
物流効率化によるCO₂削減
物流の効率化は、輸送にかかるエネルギーを減らし、CO₂排出量を抑えるための大切な取り組みです。
代表的な取り組みの一つがモーダルシフトで、トラック輸送を鉄道や船舶に切り替えることで、長距離輸送に伴う排出量を大幅に減らせます。また複数の荷主を巡回して集荷するミルクラン方式を取り入れれば、無駄な走行を減らしながら効率よく荷物を集められるのが特徴です。
さらに複数の企業が協力して貨物をまとめて運ぶ共同配送も、有効な取り組みの一つです。車両の積載率を高められるため、輸送回数を最小限に抑えやすくなります。加えて輸送拠点を集約することで在庫や車両の運用が最適化され、余分な配送を防ぎやすくなる点もメリットです。
リサイクルや再生可能エネルギーの活用
リサイクルや再生可能エネルギーの活用も、グリーン物流の取り組みの一つとして挙げられます。
資源の使用量を抑えたい場合は、リサイクル素材の梱包材やパレットを取り入れる方法が効果的です。また中古パレットや中古資材を積極的に活用すれば、まだ使える資材を長く使えるようになり、廃棄の発生を抑えることができます。新しい資材を購入する回数も少なくなるため、資材調達にかかる費用負担を減らせる点もメリットです。
さらに倉庫や物流センターの屋根にソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギーを活用する取り組みも広がっています。自家発電した電力を照明や空調へ活用すれば、日々のエネルギー使用量の削減が期待でき、停電時のバックアップとしても役立つでしょう。
このように、資源の再利用や再生可能エネルギーの導入を取り入れることで、サステナブルな物流体制の構築に加え、企業としての責任ある姿勢を示すことにもつながります。
まとめ
グリーン物流は、業務効率の向上やコストの削減、企業価値の向上、環境負荷の軽減など多くのメリットにつながる取り組みです。
自社の課題を把握し、無理のない範囲から改善を積み重ねることで、持続可能な物流体制を整えやすくなります。またこうしたグリーン物流の取り組みは、企業の信頼性向上にも役立つため、長期的な視点でも重要といえるでしょう。
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