輸送におけるオーバーパックとは?梱包時のルールや他の梱包方法も解説
2024/12/20
基礎知識
海外へ輸送する際、複数の荷物を一つの大きな容器・コンテナに入れて運ぶ「オーバーパック」と呼ばれる方法が用いられることがあります。
オーバーパックには、輸送効率の上昇や輸送コストの削減など、さまざまな利点がありますが、行うときにはいくつかのルールがあります。実施するにあたっては、オーバーパックの概要やルール、注意点を把握しておくことが重要です。
そこで本記事では、オーバーパックの概要やルール、注意点などを解説します。記事後半では、物流における主な梱包方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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オーバーパックとは?
オーバーパックとは、輸送時に複数の貨物・荷物を一つの大きな容器・コンテナにまとめて梱包する輸送方法です。輸送効率を高められたり、取り扱いを簡単にできたりするなどのメリットがあります。
詳しくは後述しますが、オーバーパックは中に危険物が含まれるのかそうでないかでルールが異なります。安全に輸送するためにも、ルールや注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。
オーバーパックへの理解を深めるために、似た梱包方法である同梱との違いを見ていきましょう。
オーバーパックを行うときのルール
オーバーパックを行うときには、ルールがあります。輸送の際に活用する場合は、危険物の場合と、非危険物の場合、そして危険物と非危険物を合わせてオーバーパックする場合の3つのケースごとにルールを押さえておきましょう。
危険物の場合
危険物とは、国際連合が定めた国際連合危険物輸送勧告(United Nations Recommendations on the Transport of Dangerous Goods)に記載されている9つの分類に該当するものです。
クラス分類 | 分類名 | 具体例 |
---|---|---|
クラス1 | 火薬類 | ● 発煙筒 ● 爆竹 ● 導火線 ● 花火 |
クラス2 | 高圧ガス | ● ライター ● カセットコンロ用ガス ● 殺虫剤 |
クラス3 | 引火性液体類 | ● アルコール ● ガソリン ● 接着剤 |
クラス4 | 可燃性物質類 | ● マッチ ● 活性炭 ● アルミニウム粉末 |
クラス5 | 酸化性物質類 | ● 過酸化水素水 ● 漂白剤 ● メチル |
クラス6 | 毒物類 | ● 消毒剤 ● 染料 ● 医薬品 |
クラス7 | 放射線物質類 | ● 放射性物質 ● 放射性医薬品 ● 放射性同位元素 |
クラス8 | 腐食性物質 | ● 塩酸 ● 水酸化ナトリウム ● 液体バッテリー |
クラス9 | その他有害性物質 | ● ホルマリン ● リチウムイオン電池 |
また、危険物を輸送する場合はUNマークが必要です。UNマークには、以下の情報が含まれています。
● 国際標識
● 容器の種類と材質
● 危険物の状態(固体・液体)
● 承認した国
● 製造年
● 製造者
危険物を輸送する場合、中身が見えている場合と中身が見えていない場合で対応方法が異なります。それぞれの状況に分けて詳しく見ていきましょう。
中身が見えている場合
梱包内の危険物のラベルやUNマークが外からでも確認できる場合、特に追加の表記は必要ありません。貨物の内容物が外から認識可能であれば、記載に関する追加の表示義務が免除され、輸送手続きが簡略化されます。
中身が見えていない場合
危険物の中身が見えないようになっている場合、以下に示すように梱包の外装にUNマークや危険物のラベルなどが必要です。
● 危険性ラベル
● 取り扱いラベル
● マーキング
● 正式名称
● UN番号
非危険物の場合
非危険物を取り扱う際も、中身が見えているか見えていないかで対応方法が異なります。それぞれの場合に分けて詳しく見ていきましょう。
中身が見えている場合
非危険物を輸送する際、中身が見えていれば貨物への記載事項は特に定められていません。この点は、危険物を梱包する場合と同様です。
中身が見えていない場合
中身が見えていない場合、内容物の確認ができるように外装にラベルを表示します。このラベルは、内容物に貼られているものと同じものにしてください。
その上で、オーバーパックしていることを伝えるために「OVERPACK」の表示をします。
危険物と非危険物を合わせてオーバーパックする場合
危険物の中でも危険度はさまざまで、特に危険度が高く、他の物質と接触しないような厳重な管理が求められるもの以外は、非危険物とあわせてオーバーパックしても問題ありません。
このケースでも、中身が見えている場合と中身が見えていない場合でルールが異なるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
中身が見えている場合
危険物と非危険物を合わせてオーバーパックする際、危険物として取り扱います。そのため、危険物だと判別できるようにオーバーパックした荷物に明記しましょう。
危険物であることを明記した上で、正しく包装してラベリングやマーキングを行う必要があります。
中身が見えていない場合
危険物と非危険物を合わせて内容物が外から確認できない場合、基本的には危険物と同様の対応が必要です。正式名称やUN番号をオーバーパックした荷物の外側に表示してください。
オーバーパックの注意点
オーバーパックを行う際は、以下の点に注意してください。
● 危険物を収容できる容器を使う
● 輸送物には標札を表示する
● 危険物に対応した標識を付ける
危険物を収容して輸出する際、危険物を収容するのに適した容器を使用する必要があります。国際的な輸送が可能となるUN規格(United Nations)を満たした、UN容器を用いると良いでしょう。
UN容器にはUAマークが記載されており、容器の種類、材質、危険物の分類(UN番号)、製造者などが確認できます。国や言語の壁を越えて、その安全性と適合性を確認することが可能です。
また、輸送物には標札を表示しましょう。原則として、標札と正式名称、国連番号などの表示を外部から見やすい場所に貼らなければなりません。外側から内部が見えない場合はオーバーパックの外装に記載して、12mm以上の文字サイズで「OVERPACK」と表示してください。
加えて、危険物に対応した標識も必要です。コンテナで危険物を輸送する場合は、四面に危険物に対応したラベルを貼ります。表示やサイズ、ラベルの色などは決められているので、内容物に合わせて対応しましょう。
物流における主な梱包方法
物流には、オーバーパック以外にも以下のような梱包方法があります。
● パレット梱包
● スキッド梱包
● 透かし梱包
● ケース(密閉)梱包
● バンドル梱包
それぞれの梱包方法の概要やメリット・デメリットなどを詳しく見ていきましょう。
パレット梱包
パレット梱包とは、荷物をパレットに積んで運搬する物流手法です。荷物をパレットに積み重ね、フォークリフトで一度に運べることで、効率的な運搬や管理が可能となります。
パレット梱包には、以下のようなさまざまな積み方があります。
● ブロック積み:荷物を同じ方向に並べて積み重ねる
● レンガ積み:レンガのように互い違いに交差させて積み重ねる
● ピンホール積み:長方形の荷物を正方形に積み重ねる
● ダブルピンホール積み:ピンホール積みを応用したパターンで、空気の通り道が2つある
● スプリット積み:レンガ積みを応用したパターンで、隙間(スプリット)がある
● 窓積み:レンガ積みを応用したパターンで、横方向に2列並べて荷物を配置する
スキッド梱包
スキッド梱包とは、スキッドと呼ばれるマテハン機器を利用する梱包方法です。パレットと似ていますが底に板がないのが特徴で、スキッド梱包では荷台に直接荷物を載せて、バンドやフィルムで固定します。
スキッド梱包は、大型かつ重量のある荷物を運搬する際に適しています。小型で軽量の荷物をまとめるというよりは、大型の少数の荷物を効率的に輸送するのに特化していると考えると良いでしょう。
透かし梱包
透かし梱包(クレート梱包)とは、梱包後も外側から見えるような梱包方法です。側面と天板が格子状になっており、隙間があります。重量物や機械部品、工業用機械などの大型品の保管に適しています。
透かし梱包のメリットは、密閉された木箱と比べて梱包材の使用量が少なく、コストを抑えられる点です。
一方で隙間がある分、雨や湿気などの外的要因の影響を受けやすくなります。そのため、梱包物を保護するためにカバーをするなどの対策が必要です。
ケース(密閉)梱包
ケース(密閉)梱包とは、内容物を木材や合板で完全に覆う梱包方法です。内容物の保護性を高めたい場合や、雨やホコリなどの外的要因の影響から製品を守りたい場合、内容物を見られたくない場合に適しています。
ケース(密閉)梱包のメリットは、防水・防塵性能が高い点です。海外輸送や輸出する際にも用いられています。
一方で頑丈に梱包する分、開梱には多少の手間と時間がかかります。
バンドル梱包
バンドル梱包とは、容器に入れたり梱包材で覆ったりするのではなく、バンドルを用いて固定する梱包方法です。鋼材や鉄材、建築材、配管などの細長い製品や長尺物を輸送・保管する際に適しています。
バンドル梱包のメリットは、包装材を必要としないため、梱包にかかるコストを削減できる点です。
一方で、バンドル梱包は荷物を保護するというよりは、あくまでも束ねてまとめる方法です。荷物を完全には保護できないので、輸送中に強い衝撃が加わり荷物が傷つくリスクがあります。
まとめ
本記事では、オーバーパックの概要や行うときのルール、注意点、その他の梱包方法などをご紹介しました。
オーバーパックとは、複数の荷物を一つの大きな容器・コンテナにまとめて梱包する輸送方法です。輸送効率を高めることができるため、国際輸送や輸出などで用いられています。実際にオーバーパックを行う際は、中身に危険物が含まれているかどうかで対応が異なるので、内容物とその対応方法はしっかりと把握しておきましょう。
オーバーパック以外にも、物流にはさまざまな梱包方法がありますが、キーフェル株式会社ではそれぞれの方法で用いるマテハン機器を取りそろえています。パレットをお求めの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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