IBCコンテナとは?種類や処理方法を解説
2024/09/24
基礎知識
荷物の輸送・保管にはさまざまな物流資材が用いられますが、その中でも液体や粉体の大量輸送・保管に適しているのがIBCコンテナです。ドラム缶と比較して大量の内容物を収納可能であり、物流業界を中心に幅広く使用されています。業務用のコンテナなので、どのような特徴・利点があるのか分からない方もいるでしょう。
そこで本記事では、IBCコンテナの概要や種類、IBCコンテナがおすすめな理由、処理方法などを網羅的に解説します。併せて処理する際に気を付けたいポイントや再利用方法などもご紹介するのでぜひ参考にしてください。
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IBCコンテナとは?
IBCコンテナ(Intermediate Bulk Container)とは、液体や粉体の大量輸送や保管に使用される中容量のコンテナです。国連が認定したIMDGコード(International Maritime Dangerous Goods Code:国際海上危険物規定)に対応しており、安全性と経済性を兼ね備えています。
IBCコンテナへの理解を深めるために、以下の項目を詳しく見ていきましょう。
● IBCコンテナの特徴
● IBCコンテナの用途
● IBCコンテナのサイズ・段積み数
● タンクローリーとの違い
IBCコンテナの特徴
IBCコンテナの主な特徴は、以下の通りです。
● IMDGコードを満たす国連認定の国際コンテナ
● 消防法に基づき、ドラム缶と同様の取り扱いが可能
● ドラム缶4本分のスペースで、1,000リットルの内容物を収納可能
● パレット機能を備えており、安全で簡単に荷役作業を行える
● 個々の部品に分別でき、リサイクルしやすい
特筆すべきは、ドラム缶よりも保管スペースを大きく削減できる点です。4本程度のスペースで1,000リットルもの内容物の収納が可能であり、保管スペースを約35%節約できます。
また、パレット機能を備えており、高重量でもフォークリフトなどの機械を用いて簡単に移動できます。
IBCコンテナの用途
IBCコンテナは主に液体や粉体の輸送および保管に使用されており、以下に挙げるようなさまざまな用途があります。
● 化学薬品の輸送・保管
● 食品および飲料の輸送・保管
● 医薬品の輸送・保管
● 農業・工業・水産業用途
IBCコンテナのサイズ・段積み数
IBCコンテナのサイズは、一般的に1,000リットルの容量が標準サイズとして広く普及しています。基本寸法は長さ1,200mm、幅1,000mm、高さ1,100後半から1,200mm程度です。高さはメーカーにより多少異なります。
またIBCコンテナは角型にデザインされているため、パレット間に隙間ができず、スペースをむだなく活用できます。さらに、最大3段までの段積みができるため、効率的な保管と輸送が可能です。
なお段積みする場合は、内容物の重量も考慮しましょう。当然、3段積みの場合は2段積みの場合と比較して保管スペースの効率が向上しますが、積載重量と安全性には十分な配慮が必要です。
タンクローリーとの違いは?
IBCコンテナとタンクローリーの違いを解説する前に、まずはタンクローリーの概要を見ていきましょう。
タンクローリーとは、液体や気体などの内容物の大量輸送に特化した大型の車両です。車両後部に設置された大容量のタンクに、石油・ガソリン・化学薬品・液体などを積載し、長距離輸送します。積載する内容物により危険物タンクローリーや非危険物タンクローリー、高圧ガスタンクローリーなどに細かく分類されます。
IBCコンテナは中容量の液体や粉体をパレットで輸送・保管するのに適している一方、タンクローリーは大量の液体や気体などの内容物を直接輸送するために設計された大型車両です。前者が内容物を入れるコンテナそのものであり、後者がそれのみで輸送手段にもなり得ると理解しておくといいでしょう。
IBCコンテナの種類
IBCコンテナには、ポリタンクを金属製の格子で囲ったタイプと、ステンレス鋼で構成されたタイプの2つがあります。
ポリタンクを金属製の格子で囲ったタイプは、一般的にIBCコンテナとして用いられているものです。内側のタンクは主に高分子量高密度ポリエチレン製(High-density polyethylene:HDPE)で、外枠は亜鉛がメッキされた銅板からなっています。コスト削減のために部品をシンプルにし、外枠はそのままで樹脂タンクのみ交換したリサイクル品などもあります。
ステンレス製のIBCは価格が高いものの、ステンレスの特有の耐食性や耐薬品性を有している点が特徴です。また、プラスチック製の製品と比較して耐久性にも優れています。
IBCコンテナに付いている排出バルブ・カムロックとは?
排出バルブは、コンテナ内の液体を効率的に排出するための部品です。バルブは交換可能で、素材や仕様にはいくつかのタイプがあります。内容物に最適なバルブを選ぶことで、腐食や故障を防ぎ、長期間、安全に使用することが可能です。以下のようなバルブ機構があります。
● ピストン式バルブ:バルブ内をピストンが移動し流量を調整する
● ボール式バルブ:穴の空いたボールを回転させ流量を調整する
● タンク式バルブ:弁体が上昇すると開く外弁式と、下降すると開く内弁式の2つのタイプがある。デッドスペースなくバルブを閉じることができ、流体をスムーズに排出できる
● バタフライ式バルブ:羽状のバルブが回転して流量を調整する。シンプルな設計で流量をコントロールしやすい
また、バルブの先端が市販のカムロックカプラーと接続できるカムロック形状になっているものもあります。スムーズに排水できる自然排水タイプと、内容物をできり限り残さず排水できる強制排水タイプがあります。
IBCコンテナがおすすめな理由
液体や粉体の輸送・保管にIBCコンテナがおすすめな理由は、以下の通りです。
● 大容量ながら低スペース
● 同じ体積のドラム缶と比較して軽量
● 移動が簡単に行える
まず挙げられるのが、大容量ながら低スペースな点です。キューブ型に設計されているため、収納スペースを抑えつつ、十分な内容量を確保できます。積み重ね可能で、保管や輸送時にスペースを最大限に活用でき、同じ面積で比較してドラム缶よりも多くの内容物を収められます。
また、同じ体積のドラム缶と比較して軽量であるため、取り扱いしやすい点もメリットです。
さらに、下部にパレットが付いているため移動させやすい点もメリットに挙げられます。積荷作業が不要となるので、時間と労力を大幅に削減可能です。
IBCコンテナの処理方法
IBCコンテナは外枠を金属製の部品で覆われているため、処理するに当たっては取り外さなければなりません。
外枠を取り除いた後は、焼却処理が施され廃棄されるのが一般的です。
また、IBCコンテナは中身を洗浄すればそのまま再利用することも可能です。これにより環境負荷を低減させつつ、コストも削減できます。状態によっては有償による売却も可能です。
IBCコンテナを処理する際に気を付けたいこと
IBCを処理する際は、専門の業者に依頼するケースが大半だと考えられます。その際、処理業者へ処理を依頼するIBCコンテナの状態を詳しく伝えましょう。
特に「残留物はあるのか」「もともと中には何が入っていたのか」「中身は洗浄したのか」などが重要な項目となります。後になって「対応できない」「処理できない」などのトラブルに発展しないよう、事前に共有するのを忘れないでください。
またIBCコンテナを有償で売却する場合は、使用可能な状態かどうかが重要となるので、使用段階から配慮してください。
IBCコンテナは、なるべく直射日光を避けて保管しましょう。紫外線により樹脂が劣化すると、ひび割れして内容物が漏出するため、買取価格に影響する可能性があります。
また、内容物を確認しておくことも重要です。フッ素樹脂のように有機溶剤に強い素材もありますが、一部の樹脂は有機溶剤によって溶解する可能性が考えられます。
こうした点を踏まえて、変形やひび割れ、サビなどがないかをチェックして業者に引き渡しましょう。
IBCコンテナの再利用方法
使用済みとなったIBCコンテナの再利用方法はいくつかあります。
高密度ポリエチレン製の内側のタンクは、耐熱性や耐薬品性、耐久性に優れています。そのため、塩酸や硫酸、アルコール、アンモニウム、灯油、過酸化ナトリウムなどの危険物の保管に使用可能です。その他、医薬品や洗剤などを保管する容器にも用いられます。
再利用するに当たっては、洗浄が重要となるので次の章で詳しく見ていきましょう。
IBCコンテナの洗い方は?
IBCコンテナの洗浄は、以下のステップに従って進められます。
1. 内部洗浄
2. 外部洗浄
3. 乾燥
まず行われるのが内部洗浄です。上部から温水を投入して洗浄したり、高圧洗浄機を用いたりするなどいくつかの方法があります。程度によっては、手洗いして汚れをしっかり除去する場合もあります。
続いて行われるのが、外部洗浄です。中に洗浄液が入らないようフタをした上で、高圧洗浄機を用いて外部を洗浄します。
洗浄した後は、IBC専用の乾燥機を用いて乾燥させます。
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ここでは、キーフェルのIBCコンテナの買取実績をご紹介します。九州のメーカーさまより、IBCコンテナの処分に困っているということでご相談いただいた事例です。
この事例では、前の内容物が危険物でなかったため、3,000円/枚で買い取りしています。通常なら処分に必要な費用や手間がかからず、それに加えて有価買取でお得に処理できたことに満足いただけました。
詳しい内容はこちらでご確認いただけます。
まとめ
IBCコンテナは、液体や粉体の大量輸送や保管に使用される中容量のコンテナです。ドラム缶4本程度のスペースで1,000リットルもの内容物を収納できる他、パレット機能を備えており、安全で簡単に荷役作業を行えたり、個々の部品に分解してリサイクルしやすかったりする点が特徴です。
IBCコンテナを処理する際は、残留物や洗浄の有無、もともとの内容物などを事前に処理業者や売却先に共有しておくとトラブルを避け、スムーズに取引できるでしょう。
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