パレットラックとは?サイズや選び方、耐用年数など分かりやすく解説
2024/09/24
基礎知識
物流倉庫では、荷物の保管や整理にパレットラックが用いられます。パレットラックについて知っておくと、倉庫内の作業効率化につながります。
そこで本記事では、パレットラックの概要や構成、耐荷重、サイズの選び方などを解説します。記事後半では、パレットラックを活用するメリットや単体と連結の概要、活用する際のコツ、耐用年数などを網羅的に解説するのでぜひ参考にしてください。
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パレットラックとは?
パレットラックとは、重量ラックや重量棚とも呼ばれる、パレットに積載した荷物をそのまま収納・保管できるスチール製の棚です。耐荷重は最低でも500kg以上あるものが多く、2,000〜3,000kgもの荷重に耐えられるパレットラックもあります。
パレットラックを活用すれば、荷物を効率的に保管でき、スペースを有効活用することが可能です。また、フォークリフトなどの機器を用いて荷物の積み下ろしが容易に行えるよう設計されており、作業の効率化も期待できます。
パレットラックの構成
パレットラックを構成するのは、以下の部材です。
● トラス
● ビーム
● デッキチャンネル
それぞれの部材を詳しく見ていきましょう。
トラス
トラスとは、構造体骨組みの一種で、部材をピンで結合し三角形を成す骨組みのことです。二本の柱を筋交いでつないだ面状の見た目をしているトラスを用いることで、荷重が節点に集中し、本体にかかる負担が軽減されます。水平力に対して強度を高める重要な役割を果たしている点も特徴です。
後述するビームを接合する爪受けが柱の前面にあり、棚団の高さを簡単に調整できます。
ビーム
建築や構造の領域では、ビームとは梁や桁を意味する言葉です。パレットラックの棚の梁に当たる部材であり、両端のフックを用いたトラスに取り付けます。
ビームは、垂直方向からの荷重をしっかりと支えることで、構造の強度を確保します。また、地震や衝突といった横方向の揺れが発生した際にも、ビームが棚全体の安定性を維持するため、荷物の落下や損傷を防ぐことが可能です。
デッキチャンネル
デッキチャンネルはサブビームとも呼ばれる部材です。手前と奥のビームをつなぐような形で設置されます。デッキチャンネルの主な役割は、パレットの曲がりやたわみ、荷物の落下を防止することです。
ビームに溶接されたボルトでネジ止めするタイプと、フック形状の接合部をビームに引っ掛けるタイプの2つがあります。1段につき4本のデッキチャンネルが設置されるのが一般的です。
パレットラックの耐荷重
パレットラックの耐荷重は、設計や構造によって大きく異なりますが、一般的に1段当たり数百から3000キログラムほどです。
パレットラックの耐荷重性能は高いほど価格も上がります。そのため、コストを抑えるには必要最低限の仕様を選ぶことが重要です。
しかし、耐荷重を超える荷物を載せると、ビームがたわんで保管物が落下する危険があり、重大な事故を引き起こすリスクも高まります。安全な運用を確保するため、適切な耐荷重を守り、定期的なメンテナンスを行うことが不可欠です。
パレットラックのサイズの選び方
パレットラックを選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
● 奥行の目安
● 横幅の目安
● 高さの目安
それぞれ詳しく解説します。
奥行の目安
パレットラックは、ビームの上にパレットを直接置くことで、荷重をしっかりと支える仕組みとなっています。そのため、原則としてパレットとパレットラックの奥行は一致している必要があります。
パレットがパレットラックと比較して奥行がない場合や、反対に大きすぎてビームからはみ出す場合、そのままの状態で使用するのは大変危険です。このような状態では、ラック全体のバランスが崩れ、荷物が落下したり、ラック自体が損傷したりするリスクが高まります。
安全に保管するために、パレットに適合した奥行のパレットラックを使用しましょう。
横幅の目安
パレットラックは、1段に2枚のパレットを収められるように設計されているのが一般的です。例えば、幅1000mmのパレットを使用する場合、2枚で2000mmになり、さらに300mmのクリアランス(間隙・余白)を加えた内寸幅2300mmのパレットラックが適しています。
ビーム幅が通常の半分程度のパレットラックも存在します。半間口とも呼ばれるこのタイプは、倉庫内の柱などを避けて配置を最適化するために利用され、1段当たり1枚のパレットを収納する設計です。
高さの目安
トラスにビームを支えるための爪受けが所定の間隔で配置されているため、パレットラックの棚ごとの高さはトラスの高さ内で自由に調整できます。高さが合わないとバランスが崩れて事故や荷物の破損リスクが高まるので、パレットや荷物の大きさに応じて適切に調整しましょう。
パレットラックを活用するメリット
パレットラックを活用するメリットには、以下が挙げられます。
● スペースを有効活用できる
● 作業効率を高められる
● 重量物を保管できる
パレットを用いると、倉庫の上部空間のスペースを有効活用できます。パレットを床に直置きすると上部空間がむだになりますが、パレットラックを導入すると複数段にわたって荷物を保管できるため、同じ床面積でより多くの荷物を効率的に収納できます。
また、作業効率を高められる点もメリットです。パレットラックを活用すれば、パレットに積載したまま荷物を取り扱えるため、作業時間を大幅に短縮できます。
さらに他のラックと比較して、重量物を保管できる点もメリットです。ラックには軽量ラック・中軽量ラック・中量ラックなどがありますが、その中でもパレットラックは耐荷重が大きく、2〜3トンもの荷物を保管できます。
パレットラックの単体と連結とは?
パレットラックを使用する際、単体(単立)または連結(連立)の2つのレイアウトを理解しておくことが重要です。
単体とは、独立して自立できるパレットラックで、各トラス(支柱)に必要な2本の柱が含まれているタイプです。
連結は、隣接する単体ラックに接続されるパレットラックで、トラスが1本しか含まれていません。連結単体では自立しないので、単体ラックと組み合わせて設置します。トラスの片側を共有することでスペースを有効活用し、コストも抑えることが可能です。
パレットラックを活用する際のコツ
パレットラックを活用する際のコツは、以下の通りです。
● あらかじめレイアウトを考えておく
● 通路は十分な広さにする
● 出庫頻度の高いものと低いもので分ける
それぞれのコツを詳しく見ていきましょう。
あらかじめレイアウトを考えておく
パレットラックを活用する際は、あらかじめレイアウトを考えておきましょう。事前にレイアウトを組むことで、作業効率や収納効率などを高めることが可能です。
まずは作業の順序を考えましょう。必要な作業と、それに必要なスペース、共有すべき作業と独立させるべき作業などを明確にしておきます。以下の入荷から出荷までの流れを頭に入れておきましょう。
1. 入荷
2. 入荷検品
3. 棚入れ
4. 保管
5. ピッキング・取り出し作業
6. 出荷検品・最終点検
7. 出荷
その上で、商品の入荷から出荷までむだなくスムーズに進められるよう、動線を一筆書きに近づけることが効率を高めるポイントです。I字型とU字型の2つがあります。
I字型は入荷から出荷までの作業が直線的に進む配置で、作業が混在せずシンプルに管理できる点がメリットです。一方の出入り口を2つに分けるU字型は、I字型と比較すると作業スペースが限られますが、作業スペースをコンパクトにまとめられるため従業員同士の連携をスムーズに行えます。
その他のレイアウトには、複数の棚をまとめてブロック状に配置し、各ブロック間に通路を設ける島型レイアウト、垂直方向に保管スペースを拡大して限られたスペースでも多くの荷物を保管できる立体倉庫などがあります。
通路は十分な広さにする
基本的にパレットはフォークリフトなどの機械を用いて搬送します。そのため、通路は十分な広さにしておくことが重要です。フォークリフトがギリギリ通れる広さではなく、フォークリフトが方向転換できるスペースやピッキングエリアも確保してください。
通路の広さを確保する上で、何台のパレットラックが必要になるのかもあらかじめ割り出しておくことが重要です。「荷物の数÷パレットラック当たりの保管数量」を算出して必要なパレットラックの台数を把握したら、むだを削減しつつ、通路幅を計算して適切なレイアウトを設計してください。
出庫頻度の高いものと低いもので分ける
倉庫の作業効率を高めるために、出庫頻度の高いものと低いものを明確に分けて配置しましょう。
頻繁に出庫される商品は、出入り口に近い場所やアクセスしやすい場所に配置しましょう。こうすれば移動距離が短縮され、ピッキング作業の時間を削減できます。
出庫頻度が低い商品は奥のスペースなどに保管し、保管スペースを最大限に活用するため、少し離れた場所で保管するのが望ましいでしょう。
パレットラックの耐用年数は?
パレットラックの耐用年数は、使用状況や積載する荷物の量によって異なるので、一概に定義することはできません。
適切に使用している場合、一般的には5年から10年程度は使用可能です。この期間を超えての使用も可能ですが、頻繁に使用している場合は5年未満で交換が必要となるケースもあります。
まとめ
パレットラックとは、重量ラックや重量棚とも呼ばれる、パレットに積載した荷物をそのまま収納・保管できるスチール製の棚です。トラス・ビーム・デッキチャンネルなどの部材から構成されており、重量のある荷物も支えられる構造になっています。
パレットラックにはさまざまなサイズがありますが、奥行・横幅・高さが、使用するパレットや荷物に適合するかを考えて選びましょう。また活用する際は、あらかじめレイアウトを考えておく他、通路を十分に確保したり、出庫頻度の高いものと低いもので分けたりするなどのコツを押さえておいてください。
キーフェル株式会社は、物流資材の買取・販売サービスを全国規模で提供しています。本記事で紹介したパレットラックはもちろん、さまざまなサイズのラックも取りそろえておりますので、物流資材の購入を検討している方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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