フレコンバックの種類や選び方を解説!使われるシーンやメリット・デメリットも紹介
2024/08/19
基礎知識
フレコンバックとは、原料・製品・粉体物・廃棄物などの物資を大量に保管・運搬できる物流資材です。コスト削減や業務効率化、労働負担の軽減、安全性向上などさまざまなメリットがあるので、活用しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
フレコンバックを業務に活用するには、その概要や特徴、メリット・デメリット、使われるシーンなどを把握しておくことが欠かせません。
本記事では、フレコンバックの種類や選び方を解説します。使われるシーンやメリット・デメリットも併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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フレコンバックとは?
フレコンバックとは、農業や工業で用いられる、大量の物資や荷物の保管・運搬に適した物流資材です。正式にはフレキシブルコンテナバッグといい、略してフレコンとも呼ばれます。
フレコンバックには、さまざまな形状と機能があります。上部全開口タイプは、開口部分がゴミ袋のように全て開くタイプであり、内容物の充填や取り出しが容易な点が特徴です。上部半開口タイプは開口部分が狭くなっているタイプで、原料などを入れる際に使用されます。底部に穴が開いている排出口付きタイプもあり、反転させずに内容物を簡単に排出可能です。フォークリフトに吊り上げた状態で使用できるため、安全かつ手間をかけずに作業できます。
フレコンバックは主に、以下の構造から構成されます。
部位 | 特徴 |
本体袋(Body) | 主にポリプロピレン(PP)で製造される。引張強さや耐衝撃性に優れている。 |
投入口(Filling spout) | 一部のフレコンバックにある、内容物を充填するための部分。投入口を密閉することで、内容物が漏えいしにくくなる点がメリット。 |
排出口(Discharging spout) | 底面にある、内容物を排出するための構造。半開タイプや全開タイプがあり、内容物の排出のしやすさが異なる。 |
吊り部・吊りベルト(Lifting belt) | フレコンバックを吊り上げる際の持ち手。吊り部が切れると事故につながるリスクがあるため、使用前に確認が必要。 |
内袋(Liner) | フレコンバック内部にある袋。内袋がある製品は、密封性や製品保護性が高い。 |
底部カバー・袴カバー | 底部の汚れを防ぐためのもの。 |
特徴
フレコンバックの特徴は、以下の通りです。
● 効率的な保管・輸送が可能となる
● 強度が高いる
● 折り畳めるためスペースを取らない
まず挙げられるのが、効率的な保管・輸送が可能となる点です。自重の1,000倍の内容物を入れることができ、紙袋を使ったばら積みと比較して手動での作業量が大きく減少します。
また、強度が高い点も特徴の一つです。一般的にはポリプロピレンやポリエチレンなど強度の高い合成繊維から製造され、内容物の重量に耐えられるように設計されています。
さらに、折り畳めるためスペースを取らない点も特徴です。使用時だけ展開すればいいので、倉庫スペースを有効活用できます。
規定
フレコンバックには先述した便利な特徴があるため、多用途で多くの業界で利用されています。その一方で、大容量の物資を一度に運搬できるゆえに、使用方法を誤ると事故につながるリスクがあります。そのため、それぞれの製品には規定が設けられており、主なものは以下の表の通りです。
規定 | 内容 |
最大充填質量 | フレコンバックに充填・保管・輸送できる質量の上限値をキログラム(kg)で表したもの。 |
安全使用荷重(SWL:Safe Working Load) | フレコンバックを安全に使用できる荷重の上限値をニュートン(N)(kg・m/s2)で表したもの。 |
積み重ね段数 | フレコンバックは通常、省スペース化のために段積み状態となる。積み重ね段数とは、満載した同一の最大充填質量のフレコンバックをどれだけ積み重ねられるかを示すもの。 ただし、最下段のフレコンバックは積み重ね段数に数えられない。例えば積み重ね段数が「3」の場合、最下段の上に3つのフレコンバックを積み重ねられる。 |
コンテナ容積 | フレコンバックに充填できる容積をリットル(L)で表したもの。 |
また、品質管理のために以下の表に示す試験も実施されます。
試験 | 内容 |
繰返し頂部吊り上げ試験 | フレコンバックを繰り返し吊り上げて耐久性や、充填物の質量に耐えられるかを試験する。 |
圧縮および積重ね試験 | 段積みに耐えられるかを試験する。 |
落下衝撃試験 | 荷役作業時に想定される軽度な衝撃に耐えられるかを試験する。 |
耐候性試験 | サンシャインウェザーメーターを用いて耐候処理を実施し、処理前後の引張強さと引裂強さを試験する。 |
耐もみ性試験 | もみ試験機による処理後、異常の有無を調べる。 |
フレコンバッグが使われるシーン
フレコンバックは主に、以下のシーンで用いられています。
● 農業
● 工業
● 土木・建設
それぞれでどのように用いられているかを詳しく見ていきましょう。
農業
フレコンバックは農業において、米や麦などの穀物の収穫、肥料や堆肥の運搬、根菜類の出荷などに用いられています。
紙袋や麻袋を用いて、人力でばら積み・パレットへの荷役を行う場合、大きな手間と負担がかかる点が課題です。フレコンバックを用いた場合は、フォークリフトにより機械荷役が可能となるので、業務効率を大きく向上させつつ労働負担の軽減も実現できます。
工業
工業では、樹脂ペレットやガラス、アルミサッシなどの廃棄物、金属や粉粒体原料、カーボン、顔料、石灰などの運搬に用いられます。
土木・建設
土木・建設の分野では、セメントやモルタル、砂、石膏、コンクリートに加えて、廃材や汚染土壌の運搬に用いられます。
ここで紹介した農業や工業、土木・建設以外にも化学工業や食品産業でも高い需要があります。
フレコンバックを使うメリット
フレコンバックは大容量であり、一度の物資を保管・運搬できる点が大きなメリットです。段積みも可能であるため、手作業で行うよりも作業効率を大幅に上昇させられます。フォークリフトによる機械荷役も行えるため、省力化や労働負担の軽減に貢献するでしょう。
加えて、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成繊維からできており、丈夫かつ軽量な点もメリットです。サイズにもよりますが、数百キロ以上の内容物を充填させることもできます。
フレコンバックを使うデメリット
フレコンバックは先述したメリットだけでなく、デメリットもあるので使用するに当たってはこれらも把握しておくことが重要です。
フレコンバックは、袋本体部に使用される樹脂の性質上、紫外線に弱く長期間外部環境に晒されると劣化しやすくなります。紫外線に強い製品や、耐候性の高いものを使用するなどの対策が重要です。
また、内容物が充填されると人の手では運ぶのが難しく、フォークリフトが必要となる点もデメリットに挙げられるでしょう。しかしこの点は、シニア作業者や体力に不安のある作業者でも、負担を感じずに難なく作業できることにもつながるので、一概にデメリットとなるわけではありません。
フレコンバックの種類
フレコンバックは、大きく「【JIS規格】ランニング型・クロス型」と「【IEC規格】静電気対策に関する規格」に分けられます。それぞれの種類の概要や特徴を解説します。
【JIS規格】ランニング型・クロス型
JIS規格(Japanese Industrial Standard:日本産業規格)に基づいた、ランニング型とクロス型の特徴は、以下の表の通りです。
【ランニング型】
種類 | 特徴 |
ランニングI | 充填と排出を繰り返し行えるよう設計されたタイプ。海外での使用事例が多く、国内ではほとんどない。 |
ランニングJ1種2種 | ランニングIと同様に、繰り返しの充填と排出が行えるタイプ。修理が可能であり、耐候性と耐水性に優れている。 |
【クロス型】
種類 | 特徴 |
クロスシングル | 充填は一回切りで、繰り返し使用できないタイプ。 |
クロススタンダード | 数回程度充填でき、1年以内の使用が想定されたタイプ。回数や期限が限度内でも、内袋・ベルト以外が破損した場合は廃棄する必要がある。 |
【IEC規格】静電気対策に関する規格
IEC規格(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)とは、電気技術分野の国際的な標準を制定する規格です。IEC規格に基づき、フレコンバックは以下のように分類されます。
種類 | 特徴 |
タイプA(非静電気タイプ) | 静電気対策加工が施されていないタイプ。 |
タイプB(帯電防止タイプ) | 静電気が発生しないよう絶縁破壊加工が施されたタイプ。 |
タイプC(導電性タイプ) | 導電糸(電流を流す特殊な糸)により、静電気を抑えるタイプ。 |
タイプD(無害放電タイプ) | 害が及ばない範囲で放電するよう加工されたタイプ。 |
フレコンバッグの選び方
フレコンバックは、以下のポイントに沿って選ぶといいでしょう。
● 容量とサイズ
● 形状
● 種類
フレコンバックの容量とサイズは、500kg程度までの小型サイズ、500kg〜1トンの中型サイズ、1トン以上の大型サイズなどがあります。運搬する内容物の量に応じて決めましょう。
フレコンバックは、本体の形(丸型・角型)、吊り部の形、投入口や排出口の有無などによりさまざまな形状に分けられます。「丸型は充填しやすい」「角型は安定性が高く崩れにくい」などの特徴があるので、用途に分けて選ぶのが重要です。
また、フレコンバックの種類の章でも述べたように、種類により耐久性や導電性が異なります。充填と排出を複数回繰り返すのか、どのような環境下で使用するのかなども想定して選びましょう。
まとめ
フレコンバックとは、原料・製品・粉体物・廃棄物などの物資を大量に保管・運搬できる物流資材です。効率的な保管・輸送が可能となる他、折り畳めるためスペースを取らない点が特徴であり、農業や工業、土木・建設など幅広い場面で用いられています。
一度の物資を保管・運搬できたり、労働負担を軽減できたりする点がメリットですが、長期間外で保管すると劣化しやすい他、人力では運びにくく、フォークリフトなどの機械が必要となる点は念頭に置いてください。
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