物流の2026年問題とは? 対象企業や企業に求められる対応を分かりやすく解説
2026/10/19
基礎知識
「物流の2026年問題によって、自社にはどのような対応が必要なのか」「特定荷主に該当するのか分からない」と悩む方もいるのではないでしょうか。
物流効率化法では、2025年4月から全ての荷主・物流事業者に物流効率化に取り組む努力義務が課されています。さらに2026年4月からは、一定規模以上の事業者を対象に、中長期計画の作成・提出や定期報告などの義務的措置が始まりました。
本記事では、物流の2026年問題の概要や2024年問題との違い、特定荷主の基準、求められる対応、未対応によるリスク、物流効率化を進めるポイントなどを分かりやすく解説します。
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物流の2026年問題とは?

物流の2026年問題とは、2026年4月の物流効率化法の全面施行により、一定規模以上の荷主・物流事業者に具体的な義務が課されるようになったことに伴う課題を指します。
2024年4月に始まったトラックドライバーの時間外労働の上限規制に続き、荷主を含むサプライチェーン全体で物流の持続可能性を高める取り組みが求められています。
まずは、2026年4月から何が変わったのか、物流の2024年問題との違いと併せて確認していきましょう。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「物流の持続的な成長を図るため物流効率化法を改正しました」.(参照2026-09-25).
※参考:経済産業省.「物流効率化法について」.(参照2026-09-25).
※参考:国土交通省 東北運輸局.「物流の「2024年問題」とは」.(参照2026-09-25).
改正物流効率化法の全面施行による変化
物流効率化法では、2025年4月から全ての荷主・物流事業者に、積載効率の向上や荷待ち時間・荷役等時間の短縮などに取り組む努力義務が課されています。
さらに2026年4月からは、一定規模以上の事業者に対して、物流効率化に向けた取り組みを計画的・継続的に進めることが求められるようになりました。これにより、物流の効率化は運送事業者だけではなく、荷主企業も主体となって取り組む課題として、より明確に位置付けられているのです。
こうした制度改正の背景には、将来的な輸送力不足への懸念があります。また対策を講じない場合、2030年度には輸送能力が約34%不足する可能性が示されています(※)。
限られた輸送力を有効に活用するためにも、荷主企業を含めて物流全体の効率化を進めることが重要です。
※参考:厚生労働省.「物流情報局 事業者の皆さまへ」.(参照2026-09-25).
物流の「2024年問題」との違い
物流の2024年問題と2026年問題では、主に対応の対象と課題の範囲が異なります。
2024年問題は、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されたことにより、輸送力の不足が懸念された問題です。ドライバーの長時間労働を是正しながら、必要な輸送力をどのように確保するかが課題となりました。
これに対して2026年問題では、運送事業者だけではなく荷主にも物流効率化への取り組みが求められています。2024年問題がドライバーの働き方と輸送力不足を中心とした課題であるのに対し、2026年問題は荷主を含め、物流全体の効率化を進める点に違いがあります。
物流の2026年問題の対象となる企業
物流効率化法では、全ての荷主に物流の効率化に取り組む努力義務が課されています。さらに一定規模以上の荷主は「特定荷主」となり、追加の対応が必要です。
ここでは、特定荷主に指定される基準と取扱貨物重量の算定方法を解説します。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「物流の持続的な成長を図るため物流効率化法を改正しました」.(参照2026-09-25).
特定荷主に指定される基準
前年度の取扱貨物重量が9万トン以上となる荷主は「特定荷主」の指定対象となります。物流効率化法では、運送契約の締結状況などに応じて次の2種類に区分しています。
● 第一種荷主:自らの事業に関して、運送事業者や貨物利用運送事業者と運送契約を締結し、運送を委託する者
● 第二種荷主:自ら運送契約を締結していない貨物について、ドライバーから受け取る、またはドライバーに引き渡す者
第一種荷主は主に発荷主、第二種荷主は主に着荷主が該当しますが、実際の区分は運送契約の関係によって決まります。
また9万トンの基準は第一種荷主と第二種荷主で合算せず、それぞれ判定します。どちらか一方で9万トン以上となった場合は基準を満たした区分で、両方で9万トン以上となったら両方の区分で特定荷主の指定を受ける必要がある点に注意しましょう。
※参考:国土交通省 経済産業省 農林水産省.「「物流効率化法」対応の手引書」.(参照2026-09-25).
取扱貨物重量の算定方法
特定荷主に該当するかを判断するには、前年度の4月1日から翌年3月31日までに取り扱った貨物の重量を、第一種荷主と第二種荷主に分けて算定します。
算定する際は、出荷・入荷だけで区別するのではなく、誰が運送契約を締結しているか、誰がドライバーと貨物を受け渡しているかを確認しましょう。自社の拠点間で輸送する場合や、物流業務を外部事業者に委託する3PLを利用する場合も、運送の委託や契約の関係によって算定対象となります。
実際の重量を把握するのが難しい場合は、貨物の数量や容積、車両の最大積載量・平均積載量、売上額・仕入額などを基に推計する方法も認められています。自社の物流の実態に合った方法で、年間の取扱貨物重量を確認しましょう。
特定荷主に求められる主な対応

特定荷主に指定されると、全ての荷主に課される物流効率化の努力義務に加えて「物流統括管理者(CLO)の選任」「中長期計画の作成・提出」「定期報告」が必要です。それぞれの対応について詳しく確認していきましょう。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「物流の持続的な成長を図るため物流効率化法を改正しました」.(参照2026-09-18).
物流統括管理者(CLO)の選任
特定荷主は、指定を受けた後、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者から「物流統括管理者(CLO)」を選任し、届け出る必要があります。
物流統括管理者は、後に紹介する中長期計画の作成だけではなく、調達・生産・販売・在庫・物流などの関係部門を横断し、物流効率化に向けた体制の整備や施策の実施を統括します。また調達先や納品先、物流事業者などとの連携・調整を進めるのも重要な役割です。
物流統括管理者を選任しなかった場合は、100万円以下の罰金、選任の届出を怠った場合は20万円以下の過料が定められています。指定後に慌てないよう、あらかじめ社内の役割や体制を整理しておきましょう。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「物流統括管理者(CLO)の選任」.(参照2026-09-25).
中長期的な計画の作成
特定荷主は、積載効率の向上や荷待ち時間・荷役等時間の短縮に向けた「中長期的な計画」を作成し、提出する必要があります。計画には、実施する措置や、その具体的な内容・目標、実施時期、参考事項を記載します。
例えば、トラックの予約受け付けシステムの導入やパレット化、納品条件の見直し、共同配送などが取り組みの一例です。自社の物流の実態や課題を整理した上で、中長期的に進める改善策を具体化するとよいでしょう。
中長期的な計画を提出しなかった場合は、50万円以下の罰金の対象となります。物流統括管理者を中心に物流部門だけで対応するのではなく、調達や販売などの関係部署とも連携して準備を進めましょう。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「中長期的な計画の作成について」.(参照2026-09-25).
定期報告
特定荷主は、指定を受けた翌年度以降、物流効率化に向けた取り組み状況を毎年度報告する必要があります。報告する内容は、以下の3点です。
● 事業者の判断基準の遵守状況
● 関連事業者との連携状況等の判断基準と関連した取組に関する状況
● 荷待ち時間等の状況
そのため、施策を実施するだけではなく、荷待ち時間や荷役等時間を継続的に計測し、報告に必要な情報を把握できる体制を整えておくことも重要です。デジタル技術などを活用し、効率的に記録できる仕組みを検討するとよいでしょう。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「定期報告について」.(参照2026-09-25).
物流の2026年問題への対応が遅れるリスク
物流効率化への対応が不十分な場合、法令上の措置だけではなく、輸送手段の確保や物流コストなどにも影響する可能性があります。
ここでは、物流の2026年問題への対応が遅れた場合に考えられる主なリスクを解説します。
勧告・公表・命令の対象となる場合がある
物流効率化への取り組みが不十分な場合、国から指導・助言などを受ける可能性があります。
全ての荷主に対して、国は判断基準を踏まえ、必要に応じて指導や助言を行える他、特定荷主の取り組み状況が判断基準に照らして著しく不十分な際には、必要な措置を講じるよう勧告される場合があります。
勧告に従わない場合はその旨が公表され、正当な理由なく改善しなかった場合は命令の対象です。命令に違反した場合には100万円以下の罰金が定められています。
特定荷主だけではなく、全ての荷主が判断基準を確認し、物流効率化に継続して取り組むことが大切です。
※参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト.「勧告及び命令」.(参照2026-09-18).
輸送手段を確保しにくくなる可能性がある
物流効率化への対応が遅れると、必要な車両やドライバーを確保しにくくなる可能性があります。
長時間の荷待ちや負担の大きい荷役作業が続くと、1回の運行にかかる時間が長くなるでしょう。その分、同じ車両やドライバーが1日に対応できる輸送件数も減少します。
こうした状態が続けば、運送事業者にとって配車しにくい条件となり、希望する日時に車両を確保できないケースも考えられます。
安定した輸送を続けるためにも、荷待ちや荷役にかかる時間を把握し、運送事業者が運行しやすい環境を整えることが重要です。
物流コストが増加する可能性がある
非効率な物流の運用を続けると、物流コストの増加につながる可能性もあります。
荷待ちに加えて、荷積み・荷卸しや検品、仕分けなどの附帯業務に時間がかかると、車両やドライバーの拘束時間が長くなるでしょう。こうした状況を改善しないまま輸送力が不足すると、運賃だけではなく、荷待ちや荷役に伴う作業費、緊急便などの追加費用が生じることも考えられます。
物流コストを見直す際は、単に運賃を抑えるのではなく、荷待ちや荷役、積載効率なども確認しましょう。物流全体の無駄を減らせれば、安定した輸送とコストの適正化につながるはずです。
物流の2026年問題に対応するためのポイント
物流の2026年問題に対応するには、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上など、現在の物流体制を見直すことが大切です。最後に、荷主企業が取り組みやすい3つのポイントを紹介します。
荷待ち・荷役時間を短縮する
まずは、トラックの荷待ち時間と荷役等時間を把握し、どの工程に時間がかかっているのかを確認しましょう。
荷待ち時間は、トラックが到着してから荷役等を開始するまでの待機時間です。一方、荷役等時間には、荷積みや荷卸しの他、検品や仕分けなどにかかる時間も含まれます。
時間がかかっている工程を把握したら、入出荷情報を事前に共有する、検品方法を見直すなどの対策を検討しましょう。荷さばき場や作業員を適切に確保するのも、荷役をスムーズに進める方法の一つです。
対策を行って終わりにするのではなく、その後も時間を計測し、改善効果を継続的に確認しましょう。
パレット化や荷姿の標準化を進める
手積み・手降ろしが多い場合は、パレットやカゴ車などを活用し、荷物をまとめて扱う「ユニットロード化」を検討するのも一つの方法です。
パレット単位でフォークリフトを使って荷役できれば、段ボールなどを一つずつ積み降ろす作業を減らせます。その結果、荷役時間の短縮やドライバーの身体的な負担の軽減につながります。
さらに、取引先とパレットのサイズや荷姿をそろえれば、拠点ごとに荷物を別のパレットに載せ替える作業を減らせます。またフォークリフトによる荷積み・荷卸しなどの作業も共通化しやすくなり、物流全体の効率化にもつながるでしょう。
導入する際は、トラックへの積載方法や倉庫の設備、取引先で使用する荷役機器、使用後のパレットの回収方法などを確認することが大切です。
納品スケジュールや時間指定を見直す
注文から納品までの期間が短い場合や、納品時間を細かく指定している場合、少量の商品を何度も納品している場合は、納品条件を見直すのも重要なポイントです。
注文から納品までの期間が短いと、十分な貨物量が集まる前に出荷する必要があり、荷物をまとめて輸送しにくくなります。また納品時間を細かく指定すると、特定の時間帯に車両が集中し、荷待ち時間が長くなる可能性があるでしょう。
少量の商品を何度も納品している場合も、トラックに十分な荷物を積めないまま運行するケースが増え、積載効率が下がりやすくなります。納品までの期間に余裕を持たせる、納品日を集約する、時間指定を調整するなど、効率よく輸送できる条件を整えましょう。
また荷受け側の処理能力を超える車両が同時に到着しないよう、発荷主と着荷主の間で納品日時を調整することも有効です。
受発注や納品の条件は物流部門だけで変更できないケースもあるため、調達・生産・販売などの関係部署と連携しながら見直しましょう。
共同配送やモーダルシフトを検討する
自社だけで積載率を高めにくい場合は、共同配送やモーダルシフトを取り入れる方法もあります。
例えば、配送先や配送エリアが近い複数の荷主の貨物を積み合わせれば、トラック1台当たりの積載率を高め、必要な車両を効率的に活用しやすくなります。
また長距離の幹線輸送では、トラック輸送の一部を鉄道や船舶などに切り替えるモーダルシフトも選択肢の一つです。ドライバーの長距離運行の負担を抑えながら、輸送体制の確保やCO2排出量の削減につなげられます。
ただし、適した方法は貨物量や納品スケジュールなどによって異なります。現在の輸送方法と比較し、自社に合った方法を検討しましょう。
まとめ
物流の2026年問題への対応では、自社が特定荷主に該当するかを確認し、必要な準備を進めることが欠かせません。特定荷主に指定された場合は、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の作成、定期報告などが求められています。
物流効率化法への対応だけではなく、荷待ち・荷役時間の短縮やパレット化、荷姿の標準化、納品条件の見直しなどを進めると、限られた輸送力をより効率的に活用できるでしょう。
特に手積み・手降ろしに時間がかかっている場合は、荷物や物流現場に適したパレットを導入し、荷役方法や荷姿を見直すのも一つの方法です。
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