ユーロパレット(EPAL)とは? T11型との違いや認証マーク、使用する際の注意点などについて徹底解説
2026/09/16
基礎知識
ユーロパレット(EPAL)は、ヨーロッパとの国際輸送で広く使用されています。しかし、海外から貨物を受け入れる際に、日本で一般的なパレットとのサイズの違いが問題になる場合もあるでしょう。
そこで本記事では、ユーロパレットの特徴や11型パレット(T11型)との違い、認証マークの種類、国際輸送で使用するメリット、注意点などを解説します。記事の後半では、ユーロパレットの選び方や処分方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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ユーロパレット(EPAL)とは?
ユーロパレットは、欧州パレット協会(EPAL)により寸法や品質、運用ルールを管理されています。ヨーロッパとの国際輸送で広く使用され、標準的なサイズは1,200 × 800mmです。
またユーロパレットは、同等品質のパレットを同数で交換する「等価等枚交換方式(パレットプール)」を前提に運用されています。企業間で規格を共通化することで、パレットを回収・交換しやすい仕組みです。欧州では、この規格を前提にした倉庫やトラックなどの物流設備が整っています。
日本で主流の11型パレット(T11型)との違い
ユーロパレットと日本で主流の11型パレット(T11型)では、サイズや形状が異なります。ユーロパレットは1,200 × 800mmの長方形ですが、T11型は1,100 × 1,100mmの正方形です。
T11型は日本や韓国などで使われる傾向にある一方、ユーロパレットは欧州を中心に広く流通している点も大きな違いです。
ユーロパレットに表示される認証マーク

ユーロパレットに表示される認証マークには、EPAL認証マークとIPPCマークの2種類があります。それぞれの意味や特徴を詳しく確認していきましょう。
EPAL認証マーク
EPAL認証マークは、欧州パレット協会(EPAL)が定める規格を満たした正規のパレットであることを示しています。楕円形の枠内に「EPAL」と記載されており、パレットが所定の品質基準に沿って製造されているかを確認する目印になるでしょう。
EPALでは、ボード数や釘数、寸法、重量、安全作業荷重などについて細かな基準を設定しています。これらの規定を満たしたパレットだけに、EPAL認証マークの表示が認められる仕組みです。
EPALマークを確認することで、規定された部材や構造、性能を備えた正規のEPALパレットかどうかを判断しやすくなるでしょう。
IPPCマーク
IPPCマークは、木製パレットに所定の植物検疫処理が行われていることを示す表示です。木材を介した害虫の侵入や拡散を防ぐため、国際植物防疫条約(IPPC)に基づく基準が設けられています。
マークにはIPPCのシンボルに加え、国コードや登録番号、処理方法などが記載されます。
具体的な処理方法は以下の通りです。
● 熱処理(HT):木製梱包材の材芯温度が56度以上に保たれた状態で30分以上加熱する
● 誘導加熱処理(DH):マイクロ波による誘電加熱により木材梱包材の表面温度を30分以内で60度以上にし、その状態で連続して1分間加熱する
● 臭化メチル燻蒸処理:臭化メチルを用いて燻蒸処理(害虫駆除・カビ防止・殺菌を目的に、気体の薬剤を対象に浸透させる処理)を行う
※温度や24時間にわたるCT値(g・h/m3)、24時間後の最低濃度(g/m3)などの規定がある
このように、パレットの強度や品質ではなく、植物検疫上の処理状況を確認するための表示がIPPCマークです。
※参考:農林水産省.「国際植物防疫条約(IPPC)について」.(2026-04-02).
※参考:植物防疫所.「よくある質問集FAQ」.(2014-07-31).
ユーロパレットの認証制度が設けられている理由
ユーロパレットに認証制度が設けられているのは、等価等枚交換方式を安定して運用するためです。企業間でパレットを交換するには、寸法や品質が一定の基準にそろっていなければなりません。規格を統一することで、受け取る側も同等の品質を前提にパレットを扱いやすくなります。
またEPALでは修理にもルールを設けており、認可を受けた修理業者が規定に沿って対応する必要があります。製造時だけではなく修理まで共通の基準で管理することで、繰り返し交換・利用できるパレットの品質を保ちやすくしているのです。
ユーロパレットが使用される主な業界
ユーロパレットは、ヨーロッパとの輸出入を行う製造業をはじめ、小売・流通、日用消費財、自動車関連など、国境や企業をまたいで商品・部品を輸送するさまざまな業界で利用されています。規格や品質が統一されているため、複数の企業や拠点を経由しても一定に取り扱いできる点が特徴です。
日本国内での流通量は限られていますが、ヨーロッパ向けの輸出や現地からの輸入など、欧州との物流ではユーロパレットを取り扱う機会があります。
国際輸送でユーロパレットを使用するメリット

ユーロパレットは、規格や運用方法が統一されているため、国際物流を効率化しやすいといった特徴があります。ここからは、ユーロパレットを使用する4つのメリットを詳しく解説します。
海上コンテナへの積載効率を高めやすい
国際輸送でユーロパレットを使用するメリットの一つが、海上コンテナのスペースを効率よく活用しやすい点です。1,200 × 800mmの長方形であるため、配置を工夫することでコンテナ内の余剰スペースを抑えられます。一般的なコンテナでは、20ftに約11枚、40ftに約23~24枚を1段で積載可能です。
限られたスペースに効率よく貨物を積載できれば、一度に運べる貨物量を増やしやすくなります。また必要な輸送便数を抑えることで、国際輸送にかかるコストの削減にもつながるでしょう。
繰り返し使用しやすく環境負荷を抑えられる
国際輸送では長距離の輸送を繰り返すため、パレットを継続して利用しやすいこともユーロパレットを使用するメリットの一つです。ユーロパレットは再利用・交換・修理・リサイクルを前提とした仕組みが整っており、長期間使用することで廃棄する頻度を減らせます。
またリサイクルプラスチック製のパレットは、木製と比べて2~3倍長く使用できるといった特徴があります。製造時に必要なエネルギーも抑えられるので、環境負荷の軽減にもつながるでしょう。
ヨーロッパ各国で共同利用や交換がしやすい
ヨーロッパ各国をまたぐ国際輸送では、ユーロパレットを共同利用・交換しやすい点がメリットです。ユーロパレットは、同等品質のパレットを交換する等価等枚交換方式を前提として運用されています。
この仕組みにより、輸送に使用したパレットそのものを自社まで長距離で回送する必要がありません。またパレットの返送にかかる手間や輸送負担を抑えながら、国境をまたいで継続的に利用しやすくなります。
さらに、ヨーロッパではユーロパレットの規格に対応した倉庫やマテハン設備も多く、荷役作業を効率的に行えるのも利点です。
一定の品質や耐久性を確保しやすい
ユーロパレットを使用すると、一定の品質や耐久性を確保しやすい点もメリットです。長距離の国際輸送では、ユーロパレットはEPALによるライセンス管理や品質検査が行われています。ユーロパレットは共通の基準に沿って製造・管理されているため、国や事業者が変わっても品質のばらつきを抑えやすいのが特徴です。
また標準的なEPALユーロパレットは自重約25kgで、安全作業荷重は1,500kgとされています。規格に沿った強度や耐久性を備えているため、長距離の輸送や繰り返しの荷役にも利用しやすいでしょう。
国際輸送でユーロパレットを使用する際の注意点
ユーロパレットは国際輸送で利用しやすい一方、日本国内で扱う際には注意が必要です。ここでは、主な注意点について確認しておきましょう。
日本の物流設備に適合しない場合がある
ユーロパレットは、日本の物流設備に適合しない場合があります。先述の通り、日本で主流のT11型は1,100 × 1,100mmの正方形ですが、ユーロパレットは1,200 × 800mmの長方形です。国内ではT11型を基準にした倉庫や物流設備も多く、サイズ・形状の違いが保管や搬送に影響する可能性があります。
海外から貨物を受け入れる際は、倉庫のラックや搬送設備がユーロパレットに対応しているかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。
国内パレットへの載せ替えが必要になる場合がある
ユーロパレットが国内の物流設備に適合しない場合は、日本到着後に国内用パレットへ貨物を載せ替えることがあります。保税倉庫などで貨物を一度降ろし、別のパレットに積み直す作業が必要になるケースもあるでしょう。
特に手作業で対応すると、荷役の手間や処理時間が増え、その分の人件費もかさみます。余計な作業を増やさないためにも、日本到着後の保管・配送方法まで考慮し、載せ替えの必要性を事前に確認しておくことが大切です。
木製パレットは植物検疫措置への適合が必要になる
木製パレットを国際輸送で使用する際は、植物検疫に関する国際基準「ISPM No.15」への適合を確認する必要があります。木材を介した害虫の侵入やまん延を防ぐため、熱処理(HT)や燻蒸処理などが規定されています。
日本に輸入する木製梱包材は、所定の処理表示がなければ原則として通関できません。検査結果によっては、消毒や廃棄などの措置が必要になる場合もあります。そのため、国際輸送で使用する前に、IPPCマークが判読できる状態で表示されているかを確認しておきましょう。
※参考:農林水産省.「木材こん包材の輸出入」.(参照2026-08-21).
※参考:農林水産省.「国際植物防疫条約(IPPC)について」.(2026-04-02).
※参考:植物防疫所.「よくある質問集FAQ」. ,(2014-07-31).
国際輸送で使用するユーロパレットの選び方
国際輸送でユーロパレットを選ぶ際は、輸送環境や検疫対応、使用後の回収方法まで考慮することが大切です。運用上のトラブルや余計なコストを抑えるためにも、ここから紹介する3つのポイントを確認しておきましょう。
輸送環境に合った材質を選ぶ
パレットの材質は、調達コストや輸送条件に合わせて選びましょう。初期費用を抑えたい場合や、回収が難しいワンウェイ輸送では、比較的安価な木製パレットが選択肢になります。
ただし、先述の通り木製パレットは国際輸送時にISPM No.15への対応が必要です。一方、プラスチック製は木材こん包材を対象とする同基準の適用対象ではありません。
そのため、植物検疫に伴う確認の負担を減らしたい場合は、プラスチック製も検討するとよいでしょう。価格だけではなく、輸送先や検疫対応まで踏まえて材質を選ぶことが大切です。
認証マークや検疫処理の有無を確認する
木製のユーロパレットを選ぶ際は、EPAL刻印とIPPCマークを確認しましょう。
繰り返しになりますが、EPAL刻印は規格や品質を、IPPCマークは植物検疫上の処理を確認する目印です。ただし、認証マークがあっても、不鮮明で内容を判別できなければ確認に支障が出る可能性があるので注意しましょう。
使用後の回収方法を考慮する
ユーロパレットは、使用後の回収方法まで考えて選ぶ必要があります。例えば、単発の輸出で返送ルートがない場合や、返送に大きなコストがかかる場合、取引先との間でパレットを交換する仕組みがない場合は、自社での回収が難しくなります。
このような場合は、使用後に自社へ返送しないワンウェイ運用が選択肢の一つになるでしょう。特に海外への輸出では、パレットを回収・返送する手間やコストを省く目的で、ワンウェイパレットが使われるケースもあります。
一方、一定の拠点間で継続的に輸送し、使用後のパレットを回収できる場合は、リターナブル運用も検討できます。リターナブル運用とは、使用したパレットを回収し、繰り返し使用する方法です。
同じパレットを繰り返し使用できれば、輸送のたびに新しいパレットを用意する必要がなくなり、資材費を抑えやすくなります。このように、単価だけではなく、回収や返送にかかる費用も含めて判断することがポイントです。
不要になったユーロパレットを処分する方法
不要になったユーロパレットは、すぐに廃棄せず、まずは買取を検討するとよいでしょう。破損が少なく、再利用できる状態であれば、中古品として買い取ってもらえる場合があります。
買取が難しい場合は、納品元の企業に引き取りを相談するのも一つの方法です。それでも処分ができない場合は、パレットの材質などに応じて適切に廃棄物処理を行いましょう。
廃棄物の処理を業者に委託する場合は、適切な許可を持つ業者かどうかを確認することが欠かせません。不適切な業者への委託は、不法投棄などのトラブルや法令上の責任につながる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
ユーロパレットは、ヨーロッパを中心とした国際物流で広く利用されています。ただし、日本で主流のT11型とはサイズや形状が異なるため、国内の物流設備との適合性や載せ替えの必要性を確認することが大切です。
国際輸送で使用する際は、材質や認証マーク、検疫処理の有無に加えて、使用後に回収できるかどうかも考慮して選びましょう。なお、不要になったユーロパレットは、廃棄だけではなく、状態に応じて買取を検討することも可能です。
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