産業廃棄物の処理コストはどれくらい? 費用の内訳や削減ポイントを解説
2025/12/17
基礎知識
産業廃棄物の処理にかかるコストは、破棄物の排出量や種類によって大きく変わるため「どのくらいが適正なのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
物流・運送業界でも、梱包材や破損品などさまざまな廃棄物が発生するため、産業廃棄物の処理費用が毎月の固定費に影響しやすいことに悩む企業も少なくありません。
本記事では、産業廃棄物の処理にかかる費用の内訳や相場、処理業者を選ぶポイントなどを分かりやすく整理します。記事の後半では、すぐに取り入れられるコスト削減方法も紹介するので、ぜひコストの見直しに役立ててください。
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産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動によって発生した廃棄物のうち、廃棄物処理法により適切な処理が求められる廃棄物のことを指します。
産業廃棄物は種類によって性質や処理方法が異なるため、まずはどのようなものが該当するのかを把握しておくことが大切です。ここでは、産業廃棄物の主な種類と具体例を順番に見ていきましょう。
産業廃棄物の種類
産業廃棄物の種類は、法律で以下のように定められています(※)。
どのような事業活動から発生するかによって区分されており、それぞれ適切な処理方法が求められます。大まかな区分と種類を事前に確認しておきましょう。
| 区分 | 種類 |
| あらゆる事業活動に伴うもの | ● 燃え殻 ● 汚泥 ● 廃油 ● 廃酸 ● 廃アルカリ ● 廃プラスチック類 ● ゴムくず ● 金属くず ● ガラス・コンクリート・陶磁器くず ● 鉱さい ● がれき類 ● ばいじん |
| 排出する業種等が限定されるもの | ● 紙くず ● 木くず ● 繊維くず ● 動物系固形不要物 ● 動植物性残さ ● 動物のふん尿 ● 動物の死体 |
また汚泥のコンクリート固形化物など、上記の19種類の産業廃棄物を処分するために発生したもののうち、上記の種類に該当しないものを加えた20種類が産業廃棄物として扱われます。
※参考:環境局.「産業廃棄物の種類」.(2018-02-09)
産業廃棄物の具体例
上記の表を見ても、実際にどのような廃棄物が該当するのかイメージしにくい方も多いかもしれません。ここでは、物流・運送業界で発生しやすい廃棄物の具体例を見ていきましょう(※)。
| 種類 | 具体例 |
| 廃油 | エンジン油、灯油、軽油 など |
| 廃プラスチック類 | 廃スチロール、廃ポリ容器類、廃タイヤ など |
| 金属くず | 鉄くず、空かん、古鉄・スクラップ など |
| 木くず | 木材、梱包材くず、板きれ など |
物流・運送業では車両やフォークリフトなどで使用した廃油や、梱包材に使われた「廃プラスチック類」、破損時に出る「金属くず」「木くず」などが代表的です。
このように、産業廃棄物にはさまざまなものがあるため、廃棄物の種類と具体例を把握しておくことが大切です。実際に排出しようとしている廃棄物がどの種類に該当するのかを正しく理解しておくことで、日々の適切な管理につながります。
※参考:環境局.「産業廃棄物の具体例」.(2018-02-09)
産業廃棄物の処理にかかるコスト
産業廃棄物の処理にかかる費用は、複数の条件によって大きく変わります。
適切なコスト管理を行うためにも、処理にどのような費用がかかるのかを知ることが大切です。ここでは、産業廃棄物処理にかかるコストについて詳しく解説します。
処理費用の内訳
産業廃棄物の処理費用は、一般的に以下のような項目に分けて考えることができます。
● 運搬費:処理施設まで廃棄物を運ぶ際に発生するもの
● 外注費:回収・運搬・処理などの業務を委託した際に発生するもの
● 支払手数料:処理業者や行政機関に支払うもの
● 設備維持費:処理施設の設備の不具合や修繕などにかかるもの
● 人件費:運搬や管理、処理などの作業に必要な人員に対して発生するもの
これらの費用は、廃棄物の種類や排出量、処分を委託するかどうかなどによって変動します。どの項目に費用負担がかかっているのかを把握しておくことが、適切なコスト管理に役立ちます。
処理費用の算出方法
産業廃棄物の処理費用の合計は、複数の条件を組み合わせて算出されます。
処理単価は依頼する処理業者によって異なり、処理する量が多いほど単価が下がるのが一般的です。また費用が変動する要因の一つとして、処理業者ごとの処理方法や設備の違いなどが挙げられます。
さらに処理費用は、地域によって差が生じやすい点も特徴です。利用できる処理施設の状況や最終処分場までの移動距離、地域ごとの運用ルールなどが費用に影響します。例えば、都市部では土地代や人件費が高いことから、処理費用が高くなるケースもあるようです。
処理費用の相場
先述の通り、産業廃棄物の処理費用は廃棄物の種類や排出量、地域などによって変わります。産業廃棄物の代表的な種類による1t当たりの処理単価の全国相場は以下の通りです。
● 廃油:70,000〜78,000円程度
● 廃プラスチック類:50,000〜56,000円程度<
● 木くず:12,000〜14,000円程度
● 金属くず:2,900〜3,500円程度
また収集や運搬をする距離が長くなると、運搬費が上乗せされる可能性もあります。複数の条件によって費用が大きく変動するため、これらの金額はあくまで参考として捉えておくことが大切です。
産業廃棄物処理のコストが高騰している理由

産業廃棄物の処理費用が高騰している背景には、複数の要因が重なっているといわれています。
まず挙げられるのが最終処分場の利用可能な用地の減少です。埋め立て可能な用地が限られているため、産業廃棄物の受け入れられる量がひっ迫し、処分費用が上昇しやすい状況が続いています。
また輸送コストの急騰も要因の一つです。原油価格の変動による燃料費の上昇に加え、運送業界では労働環境の見直しが進み、運搬費の上昇に影響しています。
さらに処理業者の人材不足や人件費の上昇、環境規制の強化なども産業廃棄物の処理コストの高騰につながっています。適切な処理を行うために、専門的な知識や技術を持つ人材の確保や高度な設備が必要となるため、こうした費用が処理費用にも反映されやすくなっています。
産業廃棄物の処理コストを削減するには?
産業廃棄物の処理費用は、いくつかの工夫によって負担を抑えられます。
日々の運用を少し見直すだけで削減できるケースもあるため、どのような取り組みがあるのかを整理しておくことが大切です。ここからは、処理コストを下げるための6つのポイントを紹介します。
発生量を減らす
産業廃棄物の処理コストを削減するには、まず産業廃棄物の発生量そのものを減らすことが大切です。
日々の作業工程を見直し、無駄な廃棄物が生じていないか確認しましょう。商品の破損・過剰梱包を防ぐための教育やマニュアルの整備を行うことも、廃棄物の発生量を抑える取り組みとして効果があります。
また梱包材や消耗品などを選ぶ際に、リサイクルや再利用が可能なものを取り入れることで、排出量を抑えられるケースもあります。
こうした取り組みを積み重ねることで、処理費用の削減につながっていくでしょう。
正しく分別する
廃棄物を正しく分別することも、産業廃棄物の処理コストを削減するのに効果的です。
複数の種類が混ざった状態の廃棄物を排出すると、その中でも高い種類の単価に基づいて算出されることがあります。そのため、本来の種類ごとに算出したときよりも処分費用が高くなることがあるようです。
また処理業者側で分別作業が必要になれば、その手間の分だけ費用が上乗せされる可能性もあります。
もしも分別が難しい場合は、リサイクルが可能なものだけでも分別しておくと費用負担の軽減につながるでしょう。廃棄物の状態によっては、有価物として買い取ってもらえることもあり、結果的にコスト削減に役立つケースもあります。
水分管理を徹底する
不要な水分を含まないように廃棄物を管理することも、処理コストの削減に役立ちます。
廃棄物の中には、水分を含むことで重さや体積が増えてしまうものがあり、結果として処理費用が高くなるケースがあります。
特に石膏ボードは、水にぬれるとリサイクルができなくなることもあるため注意が必要です。再資源化できるものが再利用できなくなると、その分の処分費用も増加してしまうため、雨や湿気などの水分を避けられる保管環境を整えておくと安心です。
持ち込み処分を活用する
産業廃棄物の処理コストを削減する方法の一つが、自社で廃棄物を処理施設へ運ぶ「持ち込み処分」を活用することです。
産業廃棄物を処理業者に依頼する場合は、収集・運搬にかかる人件費や車両費が費用に含まれます。持ち込み処分に切り替えることで、これらのコストを抑えられ、処分費用のみで廃棄物を処理できます。
なお搬入のルールや受け入れ可能な廃棄物の種類は施設ごとに異なる可能性があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
自社の設備を見直す
作業工程で発生する産業廃棄物の量は、使用している設備の性能によって大きく変わることがあります。そのため、自社の設備を性能の良いものにすると、処理の効率が上がり廃棄物の排出量を抑えられる可能性があります。
長期的な視点で見ると、設備の見直しはコスト削減につながる場合もあるため、現状の設備が廃棄物の発生にどのくらい影響しているのかを確認しておくと良いでしょう。
ただし設備の更新にはまとまった初期費用が必要となる傾向にあるため、どの程度の投資が必要なのか、導入後にどれくらいの削減効果が見込めるのかを事前にしっかりと検討することが大切です。
なお設備の更新には、国や自治体が補助金や助成金を提供しているケースもあるため、併せて確認しておきましょう。
複数の業者を比較する
産業廃棄物の処理費用は業者によって大きく異なるため、複数の業者を比較して検討しましょう。
業者を比較する際は、廃棄物の処理費用だけでなく、必要なサービスが適切に提供されるかも確認することが重要です。
特に気を付けたいポイントが追加料金の有無です。緊急時や時間外の対応に別途費用がかかるのか、特殊な処理が必要な場合に割増料金が発生するのかなどを事前に確認しておきましょう。また産業廃棄物を処理する際に必要となる、マニフェスト伝票の発行費用や手数料などが見積もりに含まれているかどうかもチェックすると良いでしょう。
なお定期的に産業廃棄物を排出する場合は、信頼できる業者と長期契約を結ぶことで処理単価を抑えられるケースもあります。継続的に依頼する可能性があるときは、契約プランについても相談してみるのもおすすめです。
産業廃棄物処理業者を選ぶポイント

産業廃棄物の処理業者を選ぶ際に、押さえておきたいポイントは以下の3点です。
● 許可証や資格をチェックする
● 優良認定を受けている業者を選ぶ
● リサイクルの対応可否を確認する
適切な業者を選ぶことで、費用面だけでなく安全性や適正処理の面でも安心して任せられるでしょう。ここからは、それぞれのポイントを詳しく紹介します。
許可証の有無をチェックする
産業廃棄物の処理を検討している場合は、業者が「産業廃棄物収集運搬業及び処分業」の許可を取得しているかを確認しましょう。
許可を取得していない業者に依頼してしまった際は、依頼業者だけでなく排出事業者も責任を問われ、罰則の対象となる可能性があります。
なお許可証には、取り扱える廃棄物の種類や事業の範囲、有効期限などが明記されています。これらの情報は、各自治体のWebサイトでも確認できるため、事前にチェックしておくと安心です。
また過去に行政処分を受けていないかどうかも確認しておくと、より信頼性の高い業者を選ぶための判断材料となるでしょう。
優良認定を受けている業者を選ぶ
産業廃棄物の処理業者を選ぶ際には「優良認定」を受けているかどうかも確認しておきたいポイントです。
優良認定とは、都道府県・政令市が一定の基準を満たした産業廃棄物処理業者を評価して認定する制度のことです。優良認定を受けるためには「優良産廃処理業者認定制度」で定められている以下の5つの基準を満たす必要があります(※)。
● 遵法性
● 事業の透明性
● 環境配慮の取組
● 電子マニフェスト
● 財務体質の健全性
有料認定を受けている業者は、これらの厳しい条件をクリアしているため、より信頼して依頼しやすいでしょう。
なお環境省の「優良さんぱいナビ」を使用すれば、廃棄物の種類や処理方法、地域などの条件から優良認定を受けている業者を確認できます。業者を選ぶ際の比較材料として活用すると良いでしょう。
※参考:環境省.「優良産廃処理業者認定制度」.(参照2025-11-14)
リサイクルの対応可否を確認する
リサイクルに対応しているかどうかも、産業廃棄物の処理業者を選ぶ際の大切なポイントです。
リサイクルに積極的に取り組む業者へ依頼することで、環境負荷の軽減につながるだけでなく、企業としてのイメージ向上にも期待できます。
またどの程度の割合で再資源化を行っているのかといったリサイクル率も、業者を選ぶ際の判断基準の一つです。環境配慮に取り組む姿勢を確認しながら、長く付き合える業者を選ぶと良いでしょう。
まとめ
産業廃棄物の処理コストは廃棄物の種類や排出量、地域、依頼する処理業者など、さまざまな条件によって大きく変動します。まずは、自社でどのような産業廃棄物がどれくらい発生しているのかを把握しておくことが大切です。
また産業廃棄物を処理するためのコストを削減するには、産業廃棄物の発生量を減らす工夫や複数業者の比較検討といった取り組みが有効です。これらに加えて、他の対策も組み合わせて進めることでより大きなコスト削減につながるでしょう。
なおパレットやコンテナなどの物流資材を処分したい場合、状態によっては産業廃棄物ではなく「買い取り」という形で有効活用できるケースもあります。
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