パレットの高さ制限とは?積載上限や注意点を解説
2024/10/24
基礎知識
課題解決
荷物の保管・運送に欠かせないマテリアルハンドリング機器(マテハン機器)の一つであるパレット。倉庫業務を効率化したり、運送業務をスムーズに行ったりとさまざまなメリットがあります。
企業規模にもよりますが、常に全てのパレットを使用するケースは多くはありません。使用していないパレット(空パレット)がスペースを圧迫しないよう、高く積み上げて保管していることも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、空パレットを積み上げる際の高さ制限や、はい作業の概要、空パレットを積み上げる高さの目安などを解説します。空パレットを高く積み上げることで起こる事故の例や事故を防止する方法、空パレットの整理方法なども網羅的にご紹介するのでぜひ参考にしてください。
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空パレットを積み上げる際の高さ制限
使用していない空パレットを保管する際、どのくらいの高さまで積み上げてよいのか気になったことのある方もいるのではないでしょうか。
実はパレットを積み上げる際、法律で定められた高さ制限はありません。そのため、高さ制限は現場ごとに異なります。まったく制限をしていないところもあれば、「〇〇段積みまで」「〇〇メートルまで」とルールを決めているところもあり、現場によりさまざまです。
ただし、事業者は労働安全衛生法に基づき、労働者が安全に労働できる環境を整える義務はあります。加えて作業時のリスクを把握し、適切に管理することも求められます。パレットは重いものだと20キロを超えるので、万が一高いところから落下してきた場合、一大事につながりかねません。
そのため、空パレットを高さ2m以上積み上げる場合は「はい作業主任者」が必要です。はい作業主任者とは、指定の技能講習を修了し、後述する「はい作業」の安全管理や指揮を行う人のことをいいます。
はい作業とは?
はい作業とは、主に倉庫などで「はい」を積み上げ・積み下ろしを行う作業を指します。はいの高さが2mを超える場合、先述した「はい作業主任者」が必要です。
そもそも「はい」とは?
そもそも「はい」とは、倉庫や工場において段ボール箱や袋、木材、鋼材パイプ、パレットなどを積み上げて保管した荷物のまとまりを表す言葉です。
ただし、小麦や大豆、鉱石などのバラ物の荷物は省かれます。
はい作業の種類
はい作業にはいくつかの種類があり、主なものは以下の通りです。
● はい付け:規則正しくはいを積み上げる作業
● はい崩し:はい付けした荷物を、安全に配慮しながら積み下ろす作業
● はい替え:はい崩しを行ったはいを、別の場所に移動させて並べ直す作業
上記の作業に加えて、個数や数量を確認する検数、状態をチェックする点検なども業務もはい作業に含まれます。高さ2mを超えるはいに対し上記の作業を行う際は、必ずはい作業主任者の指揮のもとで行うようにしてください。
空パレットを積み上げる高さの目安
空パレットを積み上げる高さに法的制限はありませんが、事故につながるリスクを下げるために、ある程度の目安を把握しておくことが重要です。
一般的に、人の身長を超える高さまで空パレットを積み上げると、衝撃や揺れにより倒壊するリスクが高まります。そのため、高くとも人の身長を超えない程度で、胸や腰の高さを上限とするのが良いでしょう。
空パレットの問題点
空パレットの問題点は、主に「倉庫スペースを圧迫する」「事故につながる」の2つです。
使用しない空パレットは、倉庫や工場内のスペースを圧迫します。作業スペースや収納スペースが狭くなり、作業効率の低下を招くかもしれません。
また、空パレットが事故につながる可能性も無視できません。特に、省スペースを目的に高く積み上げている場合には注意が必要です。万が一倒れてしまった場合、荷物が損傷するだけでなく、従業員がけがをする恐れがあります。
空パレットを高く積み上げると起こる事故の例
空パレットを高く積み上げると起こる事故の例には、どのようなものがあるのでしょうか。実際に特定貨物自動車運送業で起きた事故の内容と原因を詳しく見ていきましょう。
事故の内容
この事故は倉庫内でフォークリフトを用いて空パレットを積み上げたところ、高く積み重ね過ぎて倒壊し、被災者を直撃したものです。
災害発生時、被災者はフォークリフトで1枚当たり約22kgの木製パレットを、30枚ずつ2回に分けて積み重ねようとしていました。2回目の30枚を上に載せようとした際にバランスが崩れ、落下したパレットが被災者を直撃しています。
※参考:厚生労働省.「職場のあんぜんサイト:労働災害統計」.(参照 2024-08-28)
原因
この事故の原因は、以下の通りです。
● パレットの置き場所と積み重ね方が不適切であったこと
● パレットをフォークリフトに積み過ぎたこと
● 安全管理が行き届いていなかったこと
通常の作業時には1カ所に20〜30枚程度のパレットを積み重ねていましたが、今回の例では60枚を積み重ねようとしています。また、1回に30枚ものパレットを積んだことも、事故の原因に挙げられるでしょう。
加えて、作業方法や休日出勤の管理が従業員任せで、安全管理が行き届いていなかった点も原因の一つです。
空パレットの積み上げ過ぎによる事故を防止する方法
空パレットを高く積み上げることに起因する事故を防ぐには、以下のポイントを意識してください。
● 安全管理の基準を設ける
● 現場への安全教育を徹底する
● 空パレットがたまり過ぎていたら整理する
それぞれのポイントの概要や具体例などを解説します。
安全管理の基準を設ける
まずは、安全管理の基準を設けることが重要です。先述した事例は、パレットの高さ制限が定められておらず、従業員が作業する際の安全管理が不十分だったため事故につながっています。
責任者が中心となり安全基準について話し合う場を設け、パレットの高さ上限を定めておきましょう。その際、積み上げる高さの上限を定めたことを、従業員に周知徹底させる必要があります。具体的には、研修会や講習会で詳しく説明すると共に、作業場の壁に目印を記して高さ制限を視覚的に示すのがおすすめです。
また、空パレットを保管する際だけでなく、フォークリフトなどを用いて移動させる際も高さに気を付ける必要があります。高く積み過ぎると積荷のバランスを保ちづらくなるので、一度に運搬してよいパレットの量を定めておきましょう。
現場への安全教育を徹底する
現場への安全教育を徹底するのも重要です。完璧な安全管理を作成しても、現場レベルで普及していなければ、事故リスクは減りません。
安全対策や事故防止策に関する講習を開き、従業員が安心して作業できる環境を整えましょう。
空パレットがたまり過ぎていたら整理する
そもそも事故の原因となる空パレットを放置せず、たまり過ぎていたら整理することも必要です。後述する対策を取り、安全に配慮した作業環境を準備しましょう。
空パレットの整理方法
使用済みとなった空パレットは、倉庫内のスペースを圧迫します。とはいえ、高く積み上げ過ぎると先述したような事故につながりかねません。空パレットの整理や処分に悩まれている方も多いでしょう。
その場合は、以下の方法を試してみましょう。
● 中古パレットの買取業者へ売る
● 取引先に回収を依頼する
● メーカーへ問い合わせる
● 産業廃棄物として処理する
それぞれの方法の概要やポイント、流れなどを詳しくご紹介します。
中古パレットの買取業者へ売る
中古パレットの買取業者へ売却する方法のメリットは、不要になった空パレットを処分しつつ、利益を上げられる点です。木製・プラスチック製・金属製など素材を問わず、状態が良好であれば高価買取も実現できます。
業者により買取価格や条件は異なるので、複数の業者を比較検討して依頼先を見つけましょう。業者によっては、破損しているパレットの買い取りを実施していなかったり、改修費用がかかったりするところもあります。
キーフェル株式会社の中古パレット買い取りサービスでは、リユース可能な状態であれば多少の割れ・汚れがあるパレットでも買い取りをしています。また、改修にかかる費用は無料です。
取引先に回収を依頼する
取引先に回収を依頼するのも、一つの方法です。依頼費用がかかるケースもありますが、手っ取り早くパレットを処分できます。
メーカーへ問い合わせる
パレットのメーカーが、不要となったパレットの引き取りを実施していることもあります。リサイクル活動に力を入れている企業の場合、引き取りに応じてくれるでしょう。基本的に無料で引き取ってもらえるので、コストをかけずに処分できる点がメリットです。
回収方法は、メーカーにより異なります。どのような素材を買い取っているのか、引き取りに来てくれるのか、その場合は費用がかかるのかなどを問い合わせて確認しましょう。
産業廃棄物として処理する
産業廃棄物処理業者に依頼して、処理する方法もあります。事業活動に伴い排出される廃棄物は産業廃棄物に該当し、パレットは素材に応じて異なる産業廃棄物の種類に分類されます。
業者に依頼する際は、依頼先が産業廃棄物の収集運搬・処理に関する許可を得ているかを確認してください。また費用とその内訳も、事前に問い合わせておきましょう。
まとめ
空パレットを積み上げる際は、法的制限はないものの、安全性に考慮して人の身長に収まる程度にしておくことが重要です。高く積み上げたことに起因する死亡事故も発生しているので、十分注意しましょう。
パレットは、「メーカーに問い合わせる」「産業廃棄物として処理する」などいくつかの処分方法がありますが、中古パレットの買取業者への依頼が唯一、収益化が可能です。パレットを整理しつつ、収益を上げたい方は検討してみましょう。
キーフェル株式会社は、パレットをはじめとするマテハン機器の買い取りサービスを提供しています。買取査定は最短即日で可能で、LINEで写真を送付するだけで依頼できます。買い取りに関わる改修費用は無料で、高価買取を実現可能です。不要となったパレットの処分にお困りの方は、中古パレットの買取実績が豊富な弊社のサービスをぜひご利用ください。
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