木製・プラスチックパレットではどちらを選ぶべき?比較方法や選び方のポイントを徹底解説!
2024/07/09
基礎知識
物流業界においてパレットは、積み込み・積み下ろしの作業を効率化させ、荷物の保管・管理の生産性を高めるためには欠かせません。一般的には木製とプラスチック製のものがありますが、どちらを選べばよいのか悩んでいる方も多いでしょう。
最適なものを選ぶためには、木製とプラスチック製のそれぞれの特徴を押さえた上で、比較方法やポイントを把握しておくことが重要です。
そこで本記事では、パレットの概要や利用する目的に加え、木製・プラスチックパレットではどちらを選ぶべきかを解説します。比較方法や選び方のポイントなども詳しくご紹介するので、パレットをお探しの方はぜひ参考にしてください。
パレットとは?
パレットとは、物流で使用する荷物を載せるための荷台のことです。フォークリフトやハンドリフトなどを用いることで、大量の荷物を効率的に運搬・保管できます。倉庫や工場での荷物の保管・移動、海上コンテナやトラックを用いた輸送、物流センター内の荷物の搬送などに使用されており、作業効率化や負担軽減、生産性向上などが可能となるため、物流には欠かせません。
一口にパレットといっても、その種類はさまざまです。以下に材質や形状ごとの特徴を簡単にまとめました。
【材質】
● 木製パレット:木材を主材料とするパレット。コストパフォーマンスに優れている。
● プラスチック製パレット:ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの合成樹脂から製造されるパレット。耐久性・耐水性・耐薬品性に優れている。
● 金属パレット:スチールやアルミニウムなどの金属を原料とするパレット。衛生的な状態を保ちやすく、耐久性・耐水性・耐薬品性が高い。
● 紙パレット:紙や段ボールを原料とするパレット。
【形状】
● 平パレット:上部構造のない、平らなパレット。
● ボックスパレット:側板が三面もしくは四面方向に取り付けられたパレット。
● ロールボックスパレット:ボックスパレットにキャスターが取り付けられたパレット。
● ポストパレット:支柱付きの安定性が高いパレット。
● シートパレット:紙や段ボール、樹脂製のシートなど薄い形状のもので作られたパレット。
● サイロパレット:粉粒体の保管・輸送に特化したタイプのパレット。
● タンクパレット:液体の保管・輸送に特化したタイプのパレット。
本記事では、木製パレットとプラスチックパレットに焦点を当てて解説しますが、その他にもさまざまなパレットがある点は念頭に置いておきましょう。
パレットを利用する目的は?
パレットを利用する目的には、以下が挙げられます。
● 荷役作業の効率化
● 荷物の保管・管理の効率化
● 荷物の破損の防止
● 力仕事の軽減
1つ目の目的は、「荷役作業の効率化」です。パレットを用いると、荷物の積み込み・積み下ろしの作業が効率化され、手作業と比較して生産性や効率性が大幅に上昇します。結果的に、作業時間の短縮と作業者の労働負担の軽減が可能です。
2つ目の目的は、「荷物の保管・管理の効率化」です。パレット輸送により、荷物の保管・管理が容易になります。荷物を一括でまとめて管理しやすくなる他、単位ごとに分けると搬出作業もスムーズに実施できるでしょう。
3つ目の目的は、「荷物の破損の防止」です。荷物をばら積みして、一つひとつ手作業で積み込み・積み下ろしすると、物理的な接触により破損リスクが高まります。パレット輸送では、フォークリフトやハンドリフトを用いるため、荷物の損傷や破損のリスクを抑えられます。輸送時の安定性も高められるため、輸送時の荷崩れや衝撃から守れるでしょう。
4つ目の目的は、「力仕事の軽減」です。パレットの積み込み・積み下ろしには、フォークリフトやハンドリフトなどの機械を用います。そのため、手作業による力仕事を軽減できます。
木製パレットの特徴
木製パレットは木材を主材料とするパレットで、国産・輸入木材のスギ・マツ(パイン材)・ツガなどの針葉樹系の他、南洋材の混合材(広葉樹)などから製造されています。一般社団法人日本パレット協会の資料によると、2022年度は約3,500万枚の木製パレットが製造されました。これは、プラスチックパレットや金属パレット、紙パレットなど数あるパレットの中でも最多です(※)。
木製パレットの特徴は、他の材質のパレットと比較してコストパフォーマンスが優れている点です。組み立てに手間がかからないので、コストを抑えて生産できます。また、市場で流通しているパレット規格に合わせてカスタマイズでき、部分的な損傷であれば簡単に修理できる点も特徴に挙げられます。
一方で、木製パレットは水分や湿気に弱く、こうした環境下で長期間使用すると腐食が進む点には注意が必要です。加えて、海外へ商品と共に木製パレットを輸出する際は、そこに含まれる害虫駆除のために熱処理や消毒が必要で、その手間がかかります。
※参考:一般社団法人 日本パレット協会.「パレットについて | JPA」
プラスチックパレットの特徴
プラスチックパレットは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの合成樹脂から製造されるパレットです。2022年度は1,600万枚生産されており、これは木製パレットに次ぐ生産枚数を誇ります。
プラスチックパレットの特徴は、軽量で取り扱いが容易な点です。素材やサイズにより詳細は異なりますが、木製パレットの総重量が15〜40kgなのに対し、プラスチックパレットは5〜25kg程度となっています。そのため、一度に多数の荷物を運搬でき、荷物の積み込みや積み下ろし作業をスムーズに実行可能です。パレット自体が軽量であることから、輸送コストとエネルギー消費も抑えられます。
またプラスチックパレットには、高い耐久性・耐水性・耐薬品性があり、木製パレットよりも湿度や化学物質の影響を受けづらいため、医薬品や食品産業で高い需要があります。カビや害虫が発生するリスクが少ない点も、特徴の一つです。
一方で、破損した場合の修理が難しい点や、オーダーメードに不向きな点は念頭に置いておきましょう。
木製パレットとプラスチックパレットの比較方法
木製パレットとプラスチックパレット、どちらを選べばよいのか迷う方も多いでしょう。その際は、以下の比較基準をもとに選んでください。
● コストで比較する
● 使い勝手で比較する
● 性能で比較する
● リサイクル性で比較する
それぞれの比較方法の詳細を解説します。
コストで比較する
以下に示すように、さまざまな観点からコストを比較してみましょう。
比較項目 | 木製パレット | プラスチックパレット |
購入 | 安い | やや高い |
輸送 | 重量があり割高 | 軽量で割安 |
寿命 | 3〜5年程度 | 10〜20年程度 |
メンテナンス | 修理しやすい | 修理しづらい |
オーダーメイド | 自由度が高い | コストがかかる |
短期間で見ると木製パレットが安価ですが、長期で使用することを考えると耐久性の高いプラスチックパレットにもコストメリットがあります。
使い勝手で比較する
以下の基準を参考にして使い勝手を比較し、どのようなシーンで使用したいかを考慮して選びましょう。
比較項目 | 木製パレット | プラスチックパレット |
衛生性 | 害虫やカビが発生しやすい | 衛生性が高い |
耐久性 | 吸湿性が高く腐食・カビが発生しやすい | 吸湿性はない |
臭気 | 積荷に木の臭いが移ることがある | ほとんど無臭 |
輸出規制 | 特別な処理が必要 | 処理は不要 |
洗浄性 | 洗浄できるが乾燥しづらい | 洗浄しやすく水分を拭き取りやすい |
性能で比較する
パレットの物理的・化学的性質から、性能を比較しましょう。
比較項目 | 木製パレット | プラスチックパレット |
質量 | 重い | 比較的軽量 |
曲げ強度 | 個体差が大きく湿度の影響を受けやすい | 温度の影響を受けやすい |
衝撃強度 | 普通 | 木製パレットより優れている |
防滑性 | 個体差はあるが、滑りにくい | 水に濡れると滑りやすいが、使用上の問題はない |
安定性 | 釘の緩みがあると不安定になる | 個体差がなく安定している |
荷物保護 | 釘浮きやささくれで荷物が傷つく可能性がある | 耐水性・耐久性が高く荷物を傷めない |
リサイクル性で比較する
SDGsや環境に優しい取り組みを推進している場合は、併せてリサイクル性も比較しましょう。
木製パレットは腐食や劣化により寿命を迎えた場合、基本的にパレットへの再生はできません。産業廃棄物として処理されるか、木くずチップとなりバイオエネルギーに利用されます。
プラスチックパレットは、粉砕・再生処理が施され再びパレットの原料とすることができます。
木製パレットとプラスチックパレットを選ぶ際のポイント
木製パレットとプラスチックパレットを選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
● 送り先の都合を考慮する
● 各業界で普及しているパレットの種類を選ぶ
● 将来も使い続けるのかどうかで判断する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
送り先の都合を考慮する
自社の輸送や保管に関する都合だけではなく、送り先の都合も考慮するのが重要です。出荷先に最適なパレットのサイズや素材を検討し、必要に応じて要望も探っておきましょう。
各業界で普及しているパレットの種類を選ぶ
業界ごとに普及しているパレットの素材や種類は異なるので、輸送や保管の利便性を考慮して選びましょう。先に調べておくことで、コストを最適化できます。
将来も使い続けるのかどうかで判断する
将来も使い続ける予定があるかどうかも、選ぶ際の重要なポイントです。パレットは大きく、ワンウェイパレットとリターナブルパレットに分けられます。それぞれの概要を解説します。
ワンウェイパレット
ワンウェイパレットとは、一度切りの使用を前提としたパレットです。一般に木製・紙製パレットから製造されます。
パレットの保管・管理コストや、回収コストがかからない点が利点です。
リターナブルパレット
リターナブルパレットとは、複数回使用できるように設計されたパレットです。木製パレットも用いられますが、高い耐久性と腐食しないことが求められるので、プラスチック製・金属製パレットが主流です。
繰り返し利用できるため、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れています。
まとめ
本記事では、木製・プラスチックパレットの特徴や比較方法、パレットを選ぶ際のポイントなどを解説しました。
両者を比較する際は、コスト・使い勝手・性能・リサイクル性を考慮して選ぶとよいでしょう。また実際に購入するにあたっては、送り先の都合を考慮する他、各業界で普及しているのはどのパレットか、将来も使い続ける可能性はあるのかなども検討してください。
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